2000.1.4号 11:00配信


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北見市役所文芸部発行「青インク」より

一期「青インク」のつれづれ

側見 美奈子


 福祉事務所で、一番若い河田 章さんがカリカリとリズミカルに鉄筆の音をさせ、ろう原紙を筆耕されていたのが思い出される。昭和二九年、青インクが創刊。何人もの人がガリ切りをし、謄写印刷で誕生させた。

 編集メンバーの端に加えていただき、役目は原稿取り。遠田恭行さんからいただいた”俳句”を紛らわせてしまう、という大失敗が忘れられない。後に発見できたが、俳句は季節が重要。次号に載せることはできても、今もお詫びの思いが続く。

 伊藤幸次郎さんの小説はボクシングが素材。どこから湧き出たのか不思議でならない。一度問うてみたいと思いつつ、今に至っている。北見では触れることのできない世界だった。
 村上光夫さんの小説は”みごと”の一言につきる。朝もやの中にある様な、春がすみに包まれている様な、そんな感覚に浸る作品、ファンでした。

 『青インク』の創生期が過ぎようとした時、発行責任者は、竹居田幸次郎さんだった。山下絢子さん、横川栄子さん、新野朝子さん、私(他にも幾人か居たかも知れない)若い女性軍(当時は若かった)は幸次郎さんにしっかりと手綱をにぎられ「原稿書いて!」と頼み込む、原稿取り女性軍団。
 幸次郎さんのあの手綱があって青インクの青年期が有ったと、今も思う。
手綱を引くだけでなく、金銭も相当のところ幸次郎さんが担っていたものと思っている。

 青インクが、職場の文芸同好誌として、菅原政雄氏が評価下さったことに端を発し、今復活の声を上げようとしている。誠にうれしい。一期、青インクに寄せた沢山の方の情熱と思い、二期青インクの元気な誕生を歓びます。


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