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伊藤彰規展を見た時にワークショップのことを知り、是非とも参加してみたいと思い申込んだ。「こんな作品を作るよ。」と見せられたものが良かったからかもしれない。時は春の雪が降りしきる19日。北網圏文化センター内アトリエ。定員16名のところ大幅にオーバー。ほとんどが女性。そしてほとんどが絵をやっていらっしゃる方だったらしい、大失敗! 最初に彼のテーマ「ミックストメディア」について教わる。メディアはメディウムの複数形。メディウムはL・M・SのMと同じ、中間という意味。介在するものという意味。絵の具とキャンバスをつなぐもの。ふむふむ。 絵の具の成り立ち。水に溶けるものが染料で水に溶けないものが顔料。色のもとになる材料は、土・鉱物・砂・貝殻・骨・炭・そして化学物。それをつなぐもの=メディアとしては、にかわだと日本画・乾性油だと油絵.ロウだとクレヨン色鉛筆・アラビアゴムだと水彩・アクリル樹脂だとアクリル絵の具・卵だとテンペラ。ふむふむ。 そしていよいよ本題。作品に材質感を持たすために色々な材質をミックストメディアするのだ。あとは可能な限りの色々なモノを使い、盛り上げたり削ったり洗い流したりまたのせたり、決まりはなく全く好きにやればいいとわたしは取った。 で、作成開始。たいていの方は絵をやっておられるので先生のお話しもすぐに理解し自分のやりたい方法で表現をし始めるのだが、全くのド素人のわたしは何をどうして良いのかわからない。でも居直って画用紙に向かい始めた。幸いにもわたしのテーブルには日本画の材料が多くのっていたので、それをにかわではなくジェルメディウムというボンドのようなもので溶いて、というよりぐちゃぐちゃ混ぜて、筆も足りなかったので、手でペタペタと塗り始めた。ぐちゃぐちゃペタペタ、ちょっと快感。 途中で色気を出して、アクリル絵の具のきれいな色を入れた途端にせっかくの傑作がなんだか壊れてしまった。ありゃ、大失敗!でもめげるものか。要らん部分は消り落としてやろう。そしてまた色を重ねてゆけばいいんだ、ぐちゃぐちゃペタペタ。色を塗り、なんだか分からぬものを振りかけ、混ぜ込み、練り、おもしろい作業であった。全くの遊びであった。 絵を描くというのはこういうことだったのだろうか。モノをしっかりと見て、それを忠実に描くことが絵を描くことだと思い込んでいた。時々つまらない話しを聞く時に、手が勝手に動いて何かを描くことがある。丸だったり線だったり・・。あれと同じ。ただ描く、何も考えずに。おもしろいだけ。おもしろさを感じながら。 最後の先生のお言葉が大変に印象的であった。「これからもきれいなものを見、汚いものも見て。きれいな音楽を聴き、きれいでない好きではないモノもたまには聴き、自分にとって美しいものはなんなのか、感じ続けていってください。」とおっしゃったと思うのだが。いいものばかりではいけないというのがやけに真実で、心にしんみりしみたのでした。おもしろい時間をありがとうございました。 作品展についてはこちら |
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