2001.4.1号 07:00配信


「シリーズ / パリ ファイル(3)」
〜パリの最近の建物たち。


久しぶりのパリのレポートです。
今回は近年に立てられた建物たちを駆け足でレポートしてみます。
バリ市内には沢山20世紀に建てられた興味深い建物があります。僕がパリに行った目的は「ル・コルヴュジェ」と言う偉大な建築家のパリにある建物達を見て廻る事でした。しかしコルビュジェだけ見て廻るのも惜しいと思い、幾つかコルビュジェ以外の建物を見てまわりました。

それでは、まず始めの建物。
「フランス国立図書館」です。

この建物はパリの東側に位置し、セーヌ川沿いに立っています。設計者はドミニク・ペロー。国際コンペにおいて弱冠36歳にしてこのコンペを勝ち取った。この近くにコルヴュジェの建物があったので、ついで感覚で見に行った。歩いて建物に近づくと、L字型の透明なガラスの4本のタワーだけが見える。とにかく巨大だ!!

結構歩いてようやく建物に到着。
基壇の階段を上がると木製デッキに出る。そこには中庭を囲う様に、L字型の4本のタワーが立っていて事務所と書架になっている。このタワー、ホントにキレイだ。驚いた。
透明なガラスの奥に木の可動する扉があり、ランダムに開いたり閉じたりしている。タワーに圧倒されながら、入り口に向う。大きなエスカレーターで地下へ潜って行くと入り口がある。基壇部分は人口の中庭を囲い外界から完全に遮断されている。内部は以外にも木がふんだんに使われていてとても繊細だ。ついで感覚とは言え、驚いたし感動した建物となった。パリに行く事があれば是非見に行って頂きたい。

次に紹介する建物は、「旧アメリカン・センター」です。設計者はフランク・ゲーリー。

僕が行った時、この建物は閉鎖中だった。内部を体験したかった所だが、この造形をじかに見れただけでも良かった。ゲーリーのフォルムを持つこの建物もセーヌ川の辺に建っている。外装にはパリ近郊のライム・ストーンが使われ、川の逆側の通りに面するファサードは非常に控え目なデザインになっている。都市環境を意識した作品だ。こうしてゲーリーの実物を体験すると、スペインのグッケンハイムも体験してみたい。

次は「カルティエ財団ビル」。設計者はジャン・ヌーベル。

この建物は「ついで感覚」では無く、どうしても見たかった建物です。鉄とガラスで出来た傑作。敷地の外からしか撮影が出来なかったので非常に分かり難い写真だが、この感覚を言葉などでは決して表せないのがこの建物だと思った。地上9層のガラスが目を引くが、地下にも9層のボォリュームが隠されている。ガラスの映り込みと光の反射により透過しあう幾重にも重なったイメージ。ジャン・ヌーベルの光の魔術に魅了される傑作建築です。

僕が行った時に1階と地下の展示室では「イッセイ・ミヤケ」の展覧会が開かれていた。とても楽しい展覧会で2度美味しい気分を味わった。

次は、同じ設計者の建物で以前にも紹介した建物、「アラブ世界研究所」。

僕はこの建物を見るだけでもパリに行く価値があると思っている。詳しくは「忘れられぬ奇跡の光」を見てもらいたいと思う。

次のは「ポンピドゥセンター」。設計者はレンゾ・ピアノ。関西国際空港の設計者です。

この建物は建物の外側に構造・設備・動線を配置し、内部を変化に対応できる平面としている。構造計画上独創的で、50m離れた両側の主構造の間に巨大なトラスを架け渡し、50m×170m・天井高7mの無柱空間を6層つくり、その中でどんな活動でも出来るようになっている。内部の美術館はもちろんだが、最上階のリニューアルされたレストランも必見だ。原色や構造体がいささかはでに見えるかも知れないが、この建物、非常に僕好みなのです。傑作です。

次の建物は、その場所に辿り着けるかとても不安だった建物です。と言うのも、一般住宅の為場所の資料が全く無かったのです。その建物はレム・クールハースの「ダラバァ邸」です。

雑誌に出ている建物の背景から大体の場所を割出し駅名を探し、方位磁石片手に、なんとか辿り着きました。

レム・クールハース。
なんとも大きな存在である彼の実作をなんとか見てみたいと考えていた。そこで丁度パリにあるこの住宅を見に行った。もちろん内部の見学は出来なかったが、彼の実作に触れる事は非常に重要な気がしていた。彼が雑誌に発表している図面や模型はとてもグラフィカルに見えてくるのだが、本当に漫画みたいな絵をそのまま作ってああなるのか確かめたかった。実作を見て感じた事は、非常に堅実な建物だと思った。あのグラフィカルな画像とは全く違う質を感じる。他の彼の実作も見てみたい。オランダに行きたい。そう思った。

最後はユネスコ本部の庭に建つ「安藤忠雄」の建築です。

何故この建物を見に行ったのかと言うと、この建物は募金によって建てられた建物で、募金した人達の名前が建物の壁面に刻まれると言うものだった。僕もミーハーなのだが募金した。(笑)
そして名前を確かめにこの建物を見に行った。しかし、名前が何所にも無い!!誰の名前も見当たらない。んーー騙されたか?プレートらしきものが貼られていた跡を見つけた。プレートは何所へ行ったのだろう?そのプレートには僕の名前はあるのだろうか?いつか又確かめに行ってみようと思う。(笑)

パリにはまだまだ見たい建物が沢山ある。例えばラ・ビィレット公園やフクサスの「カンディ通りの複合施設」。今度は何時行けるのだろうパリへ。

建築家 五十嵐 淳
次回「シリーズ / パリ ファイル(4)」
〜 パリのル・コルビュジェ達。


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