2001.6.18号 07:00配信
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大草原からのぷちメッセージ

娘達と牛

(by いくちん)


「仕方ないでしょ!牛が居るんだから!」っという言葉を口にする度、なんとなく、やるせない気持ちになります。酪農家の家に生まれたから他の子と違う、他の子より制限されるというのが可愛そうでならないのです。そう言われてる内に娘達は、「牛のせいでどこにも行けない」と思うようになりました。

私達の仕事は生き物相手。命を預かってる以上、手を抜く事は出来ないのです。365日、休みなし。十数年前から「酪農ヘルパー制度」が出来たおかげで、年間1回の強制休暇をとる事になりましたが、それまでは全く休暇がなかったようです。結婚前は、日曜休暇が当たり前のような生活をしていたので、新しい生活は慣れるまで大変でした。「今度の日曜、買い物行こう!」とか、「日曜は早く起きて魚釣りだぁ〜」なんて事はあり得ない。まして、「GWは一泊温泉旅行♪」なんて事も。数年前まで、日曜は家の庭で砂遊び。GWは近所の公園までハイキング。それが精一杯の休暇でした。

しかし、娘達が大きくなるにつれ、不平や不満を抱き始めたので困りました。保育所や学校に通うようになると、○○さん、昨日の休みに温泉行ったんだってさー。とか、○○くんは、札幌にお泊りだってー。なんて事を聞いて来るんです。まして、○○ちゃんから温泉のお土産もらっちゃった!なんて言われた時には、とことん困りました。っと母が思い付いた手段は、『オーバーアクション』我が家で行われる全てに名前を付けちゃいました。『公園まで歩こう会』とか、『砂場で砂像創り』とか、全て大げさにー。『お家でお泊り会』なんて時は、みんなリュックにパジャマを入れて寝室に入ります。こんな母の子どもじみた作戦に乗って3姉妹は成長しています。

当初は、「牛のせいでー」と言っていた娘達ですが、生活に楽しみや喜びを見付けられるようになり、最近は帰宅後、牛舎に来て、牛にあいさつするようになりました。これからも「牛のおかげで私達は、生かされているんだよ」と話して聞かせようと思っています。いつか、娘達が「牛ちゃんありがとう」と牛に心から感謝する日が来る事を願ってー。


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