青い空、新鮮な空気。普通、朝の散歩は気持ちいいものだ。
が、カトマンドゥでは、そうはいかない。気管支炎が怖ければ道路は歩かない方がいい。空気も道路も、恐ろしく汚いから。
首都カトマンドゥでは、大気汚染が深刻な問題になっている。特に私が酷い目にあったのは、ディーゼルカーの排気ガス。相乗りタクシーや路線バスが、見るからに体に悪そうな排気ガスを出して走っている。マスクをしていないと、確実に喉をやられる。いや、マスクをしてても、鼻の中は真っ黒になった。2日ぶりの洗髪で黒い水が出た時は、ちょっとぞっとしたなぁ。政府は、97年に排気ガス検査を義務付けたが、大した効果が出ていないのは一目瞭然。今年夏から排気ガス検査不合格車は街中を走れなくなるが、検査結果はお金次第でなんとでもなるというから、果てさてどうなることか。
車だけでなく、工場からの公害もひどい。セメント工場や煉瓦工場の煙突からは、黒い煙がもくもく。やっぱり体に悪そうだ。盆地全体で放出される浮遊物量は、年に16,565トン。そのうち、工場からは65%以上が出る。車の土埃と排気ガスが12%であるのに比べると、いかに怖い数字か分かるだろう。これからは、工場にも近づかないようにしよう。
市民が住む場所では、ゴミも大きな社会問題になっている。道路を歩いていると、道端に、山のようにゴミが捨ててある。生ゴミ、紙ゴミ、ビニールゴミ、果ては粗大ゴミまで、何でもかんでも捨て放題。ホテルや官公庁は、焼却処分しているらしいが、一般人を始め、お寺の住職さんまで、ポイポイと捨てて行く。しかも、捨てるのが悪いなんて思っちゃいない。みかんを食べたら、すぐポイッ。袋を開けたら、すぐポイッ。そういえば、町中を歩いていてゴミ箱を見かけたことがない。あっても、そんなのはお構いなしに捨てるのだろう。昨年末、ゴミ処理場をめぐって、政府とSyuchatar村が激しく争った。政府が勝手にゴミ処理場としてSyuchatar村を選んだ事に対して反対デモが行われた。参加者のうち、29人が逮捕され、村の住人達は更にに怒った。27人はその日のうちに開放されたが、主要人物の2人はしばらく拘留されたそうだ。どこの国も、同じような争いをしているのね。
天気の悪い日は、空も空気もどよよんとしている。朝は多少ましだが、とてもさわやかとは言えない。街中をのんびり散歩という私の夢は、もろくも崩れ去った。げほげほ。
公害資料:Kathmandu Postより
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