2002.5.15号 06:00配信
那須には都会から来た方たちがペンションとかレストランとかを経営しているお店もたくさんあり、そんな方たちのお店に遊びに行くのも楽しい。 先日、バラで溢れているレストランを見つけました。ハーブの苗をお届けしたのです。それも「届けてくださる?わたしが持ってかえったらもうお会いできないでしょ?」と言われて場所をお聞きして、それでも迷い迷いながら行きました。そのお店は山ツツジの花びらが落ちてピンク色になった小道をどんどん奥に入ったところにありました。 オレンジ色の可愛らしいお店です。大きなアーチを潜り抜けるとこれもオレンジ色の壁に囲まれた中庭に数え切れないほどのバラの木。どれもまだ蕾でしたがこのバラが全部咲いたらどんなにか素晴らしい香りがするのかしら・・想像しただけで目が回りそう。 オーナーは今年68歳になるという素敵なご夫人。様々な花の種類も半端じゃなくすごい。どんな花でも大切に育てればこんなにきれいなお花を咲かせてくれるのよ。3匹の捨てられていた犬と暮らしています。お店も昼食だけ、夜は予約のお客さまだけという小さなレストランです。「だって犬の散歩の時間がなくなるでしょ?」 バラの花びらで作ったお酒。バラのリース、バラの写真、彼女が描いたというバラの絵・・とにかくバラとハーブでいっぱい。ハーブもバラの肥料をもらって育っているせいかどれも大きく生き生きとしています。ミントなどこの葉一枚でハーブティーが出来そうってくらい大きい。 そのバラ、花、ハーブそれぞれに思い出があるとかで「これは、仲良しになったお花屋さんにもらったのよ、これはもうダメかってのを東京の友達が持ってきたのよ」とひとつひとつの説明を受けながら中庭、家の周り、裏庭まで案内してもらい夥しい種類にもう驚くばかりでした。あっという間に時間が立ち、もう薄暗い。 そしたら写真でいっぱいの素敵なバラの本を「お貸しするわ、そうすればまた返しにきてくださるでしょ、お話ができますよね」と貸してくださいました。買ったばかりというバラの苗木を「きれいなお花を咲かせてね」とおみやげにいただいてきました。 帰り道・・・魔法にかかったのかしら?と思いました。初めてお目にかかった方なのにこんなに親しくお話できるのも不思議。あのバラが咲く頃また行ってみよう。まさか夢のなかの出来事じゃないよね、本があるんだから。 昨年、草木染めの教室に行ったときのこと。那須に別荘を持っていて東京から首都高速を飛ばして別荘に通っているという方と一緒でした。 なんと80歳をすぎているおばあ様。亡くなったご主人の形見というアスコットタイをスカーフ代わりに使ってらしてそれがまたさりげなく似合っています。そして愉快なことにスピード狂「スピード違反でおまわりにつかまるのよね、だから言ってやるの何いってんの!わたしなんかあんたが生まれる前から車に乗ってんのよ!」昭和26年に免許を取得されたそうです。80歳過ぎていながら新しいことを学ぼう・・この姿勢は素晴らしいと思います。アカネ染めのスカーフを一緒にお勉強していてもお話が豊富で愉快でいつの間にか彼女のまわりに生徒さんが集まりお話をお聞きして大笑いという楽しい講習でした。 講習の会場も福島県会津の民家をそのまま持ってきたいう、これも小さなカフェ。黒光りしている大きな柱も壁も、どんな歴史を辿ってきたのかやさしい雰囲気がします。 那須って本当に素敵な棲家です。 (ようこ) |