2001.2.23号 07:00配信


南極のドーム基地住人だった西村淳の
アドベンチャークッキング2
【気ままに語る食と人の話】

春の風が吹いてきた2


WEBNEWSに「アドベンチャー〜」を連載し始めてまもなく、一通のMAILが届いた。発信元は東京のとある出版社・・・・。

「過酷な環境下で、常に笑いを忘れず生活を続ける越冬隊の皆様の暮らしに感動致しました。この原稿を活字にして幅広い読者の皆様に御紹介したのですがいかがでしょうか?? 御返事をお待ちしています。」との事・・。
文章で誉められたと言えば、今を去る数十年前に中1時代の「作文コンテスト」で三席に入って以来の快挙である。こんな状態になると普通の人はどうなるか??  99.5%の確率で舞い上がることだろう。

北海道弁で言う「おだちやすい」性格の私は舞い上がるどころか、気持ちが天上界までワープしてしまった。才能で書いたのではなく、異常な環境下での出来事を列挙しただけの文章だったが、そんな事に気づくはずもなく、にわかエッセイストは早くも頭の中で、出版→ベストセラー→印税がっぽり→優雅な生活とイメージを膨らませ、湖の横に立つ華麗なシーダーホームのテラスで、モバイル片手に執筆活動にいそしむセンセーの絵図を早くも描いていた。

正月休みも春休みも仕事中?もせっせとパソコンの前に座り、自分では驚異のベストセラーを生み出しつつある錯覚の世界の中で、駄文を書き殴っていた。
2000年6月1日遂に脱肛ではなく脱稿した。
思えばこの日は婆ちゃんの命日でもあり、又「みゆきちゃん」には内緒だが昔の彼女「さっちゃん」のバースディーでもあり、なんとなく運命・・・と言う言葉が浮かんでくるようなそんな日だった。

プリントアウトの設定を写真にし、用紙も高品位専用紙で写真も挿入した文章は、500頁を印刷するのに11時間もかかったが、それでも完成した用紙の束はボリューム感も十分で、喜び・達成感がじわじわと言うより、脱力感の方が先に来て、しばらくは椅子の上にへたり込んでいた。それでもアクションを起こさねば只の紙の束なので、Tシャツの箱にしっかり入れ、訂正用のフロッピーも同封し、何かあったら困るのでペリカン便の封筒の表には原価 ¥300,000以上・・・と書き、6月吉日これからの運命を暗示するような晴れ渡った初夏のある日、原稿は東京目指して旅立った。


うめこ亭 フジテレビ カメラ目線のリポーター


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