自分でチョイスしたベストパートナー「林隊員」とずっとペアで作業が進んでいれば何事もなくその日は終わり、コンクウイスキーの水割りをおいしくいただいて安らかな眠りについたはずであった・・・が「りんさーんちょっと来てー。」 平沢隊員のこの一声がすべての運命を変えた。 順番と運命の歯車が微妙に変化し、新しいパートナーはなんと先ほどの「福田ドクター」に変わった。ここでなんとか理由をつけて、屋内に引っ込んでしまえばよかったのだろうが、ここは人手不足ではどこにも負けないドーム基地である。逃げるに逃げられずやむなく作業再開となった。
ふと手元を見るとまだオーバーミトンを着けている。
「ドクター ミトン着けてたらあぶないって!!!」
「次は梯子運びでしょ? 大丈夫ですヨ十分注意してやりますからネ。」
越冬初期のこの時期、ドクターが気をつけると言った時には、実は相手に注意してやるのではなく、自分がけがをしないように注意して作業を進めると言う事にまったく気がつかなかった。案の定作業再開後数分して、「アッ!!」との叫び声と共にはしごはドクターの手をすり抜け、見事に私の薬指は、はしごの間に「グキッ」との効果音と共に挟まれた。
たくさんのたくさんの「ごめん・すまん・許して・痛い?・」の言葉付きで、X線・専属主治医付きっきりの治療がほどこされた。診断結果は骨折ではなく、ハンマー指いわゆる突き指であった。ドクターは必死にいろいろな形のギブスを作ってくれたが、薬指は曲がったままで、固まってしまった。「帰国したらうちの病院に来てネ。うちの病院、他は大したこと無いけれど整形だけは優秀だからサー」今でも曲がった指はそのままだが、その内生活に困った時、美観を損ねたということで、¥240、000、000位の慰謝料をせしめてやる魂胆である。ちなみに顔を直したいと思っているあなた、整形外科の優秀な病院は北海道は「砂川市立病院」である。優秀な麻酔医、「福田ドクター」の勤務するこの病院。お勧めはするが、保証はしない。
「ドーム病院入院風景・・病名 二日酔い」
「点滴を月桂冠に取り替えるハンサム看護士」
注意:写真はすべて国立極地研究所に属します。
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