「キューン」とモーター音がドームの凍てついた空気をかき乱す。チェーンソーで木材をカットする作戦は予想通り能率的で、多少の寸法差はあるもののほぼ許容値内でどんどん出来ていく。切れ込みも最初はのみで真面目に入れていったが、チェーンソーを使って途中まで切れ込みを入れてから対角線に斜めにブレードをあててきゅっとひねると簡単にほぞ穴を作れる事がわかった。
まあ日本でこの方式をとって家を建てると施主さんから間違いなくクレームがつくだろうが、ここでは無賃金のボランテイア大工である。「もっと丁寧にやってください」光線を全身に浴びつつも、どんどん作業を進めていった。となると短期間で完成したようだが、実はこの大工達、すぐ休憩を取りたがるチームで、ちょっと寒くなるとすぐ屋内に引っ込んでしまう。ひどい時には、枠材を組み上げて骨組みを作るまさにその瞬間に「あー寒い、寒い」と一声出して、平沢隊員だけをその場に残し大工一同引っ込んでしまった事もある。
最後のベニヤ板に釘を打って、壁を作る作業はほぼ全員で行い、実に工期2週間余りを費やして、3m四方の小さな「GPSゾンデ放球棟」が完成した。仕上げにベニヤ板の壁にチェーンソーで、月と星の切り抜きを作って、これから200発以上打ち上げる気球が「魔女の宅急便」の様に、研究成果が幸せを運んできてくれるよう「魔女宅小屋」と名前が決まった。
「完成記念写真」
「看板」
注意:写真はすべて国立極地研究所に属します。
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