2000.11.2号 07:00配信


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第38次南極地域観測隊 ドームふじ観測拠点越冬隊
「食と生活の記録」より/by 西村淳


「39次隊 昭和基地に入る」

12月16日、「昭和基地」に第一便のヘリコプターが飛んだことが判明した。
「いいなーーーーーーーーーー」
「しらせ」から飛ぶ第一便。
生鮮野菜、ビール、家族からの手紙、ビデオ等を満載して飛んでくる日本からの幸せを運んでくるサンタクロース便。次の隊も数人来るが、これよりも何よりも越冬隊はまず、ヘリポートで缶ビールのプルキャップを引き抜き、新鮮な炭酸の刺激を楽しみ、その日の夕食は生卵かけ御飯、オニオンスライス、コールスローが食卓をにぎわすこととなる。

30次隊の時は、春の建物の補修作業をしていた。 本来は手空き総員で行っていたが、この日はたまたま同じ海上保安庁の谷川隊員とパワーファイターで錆の掻き取り作業をしていたとき、どこからともなくほんとにふわふわとタマネギの香りが漂ってきた。その後数分して、バタバタバタとヘリのローター音が耳に飛び込んできた。

超能力・霊視・予知等とは無関係に人生を過ごしてきたが、その時は本当にたまねぎの香りが空間を満たしていた。ともかく1000kmの彼方「昭和基地」では、今日を境に次第に人口が増え、建設音が響き渡り、新しいウイルスにより風邪引き患者が発生し、急速に帰国へと進んでいくことになるが、ドームではそれもなんとなく他人事で、5名でのひっそりとした日常生活が営まれていた。

「昭和基地の急患」はこの後、39次隊のドクター及び隊員が東オングル島に入り、物資の陸揚げを行った後、当人と38次の山木戸ドクターが「しらせ」に乗艦し、そのまま南アフリカのケープタウンに向かい、そこから空路帰国と決定した。病人本人は、早期に治療を受けることになったからいいが、一緒に付き添いで帰国してしまう山木戸ドクターは越冬の疲れをいやす暇もなく御帰国とはほんとにご苦労様と思うしかない。

氷原のしらせ


注意:写真はすべて国立極地研究所に属します。
個人で楽しむ以外(メディア等への掲載)は禁止します。



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