とかく人間が気合いを入れて望むプロジェクトは肩に力が入る物だが、30次隊の「若葉マーク越冬隊」時も、「買い物が不可能だから絶対忘れ物をしない、越冬終了時まで何一つ品切れにはしない。」と、それこそまなじりをつり上げて調達作業に取り組んだが、それでも秋刀魚・鯖・豚肉・鶏肉忘れである。力を抜いてリラックスした状態の方が、スポーツと同じようにいい結果が出るようである。
「忘れ物をしたら似たような物を変わりに使うか、思い切って抜いてしまっても結果としてそんなに変わらないし、品切れの食材が出たとしてもそれだけ越冬が進み、日本に又一歩近くなった。」位に考えるようにしよう。と鈴木隊員とは話していたのであるが、やはり最初の南極と言うこともあって、北田隊員、肩にがちがち力が入っていたようで次回チャンスがあって南極に行くことがあればリラックスして頑張ってくれるでしょう。
テレビの料理番組でも、様々な料理のレシピが出てくるが、ご家庭の奥様達がそれを見てもトライしないで、やめてしまうのは聞き慣れない様々の食材や調味料。それにカップ何杯、何グラムといった数字の圧力が重苦しくて「魚でも焼いておくか。」ジャンジャン!となってしまってるのが多いのではないだろうか??いいんですよ・・すっぱり無視して!!もし貴方が女性で、好きな男に一つローストビーフでもと思ったとき、擦り込むスパイスのローズマリーがなかったり、下にレギュームと称する野菜くずを引かなくても絶対大丈夫。
牛肉の塊に塩・胡椒を多めになすりつけて、凧糸がなかったら結ばないで、しばらく室温になじましてから220℃のオーブンにどーんとほおりこんで待つことしばし、箸でも竹串でもさしこんで、透き通った汁がぽこりと出てくれば出来上がり。後はそれをアルミホイルにくるんで10分くらい置いておくと、立派なローストビーフが出来上がりますヨ。後は、ホースラデイッシュがなくても芥子醤油やわさび醤油で結構旨く食えるし、天板に残った汁に醤油とワインか酒かみりんをドポッと注ぎ入れて、一沸かしで立派なグレービーソースが出来てしまうし、「ローストビーフって最初は山火事で焼け死んだ牛を牧童が生焼けの所を食べてみたらすごくおいしかったのでそれから牛肉料理の定番として発展していったんだって・・・・・」位のコメントを付け加えれば、貴女のさっそうとした凛々しい姿に見とれている男達は感動の涙とともにころっとだまされること請け合いである。
同じようにカレーライスに必ず入れろと言われているガラムマサラもなければ入れないでいいし、どうしても入れたかったら、ハウスジャワカレーに太田胃酸を小さじに半分入れるだけで、インドカリーの親戚の又従兄弟くらいには化けてくれる。分量も小さじ何杯の呪文に惑わされることなくひっきりなしに味見をして、「ちょっと薄いかな?」で止めると大体ビンゴ!である。まあ後で食した時「甘い!」と言われたら「あなたの体を心配してるのヨ」とやさしい声で切り返し、「辛い!」と言われたら「ごめんねー 料理本通りにやったらこんな風になっちゃった」とその本を書いた筆者のせいにしてしまえばいいし、まあ何回か作っていく内に、絶対自信作になって行くはずである。何回も味見を重ねる内に舌が馬鹿になってきて「うーわからん?」状態になってきたら、まず水で口をそそぎそれからおもむろに作っている料理に 酢を1.2滴たらたら落とすと味がはっきりしてくるからお試しを。
又食べさせる相手を空腹にしておくこと、絶対うまく作ってやると右脳に念じると旨い物が出来ると昔から決まっている・・・かどうか知らないが・・・出来るはずである。
肩の力を抜いてトライすれば絶対大丈夫、世界に二つとない貴女だけの料理が出来上がる。 頑張って!!
おまけの話を一つ・・・・。
時系列はややずれるが先日友達家族と一緒に、とある北海道中央部の結構でかい温泉に宿泊した。何百人も宿泊出来るホテルで、ネームバーリューも充分。さぞやうまい食事が出てくると楽しみにしていたのだがこれが大失敗!!私がこの世に生を受けて、史上最低・空前絶後・言語道断 すさまじくまずい料理にお目にかかった。案内を見ると食事はレストランでバイキングとなっていた。食べ放題をこよなく愛する息子は素直に「バイキングだってー やったぁ!」と大喜び。気持ちよく露天風呂につかりさて待望の夕食タイム。レストランに向かうと、なんと入り口でショータイムのリハーサルで、派手な衣装に身を包んだ白人が逆立ちをしていた。この辺でなんとなくいやな予感がしたが、空腹でもあり勇気を持って中へ進んだ。中にはお年寄りの団体客がごっそり・・。
食している物を横目でにらむと、どう見てもお子さまランチに毛も生えていないような物をもくもくと食べている。確かにバイキングではあったが、スモーガスボードの本場、北欧の人がもしこの場に居合わせたら、おそらく黙って回れ右をして会場を後にするであろう。
まずい物の総称を猫またぎと言うがここに並んでいた料理はゴジラでもまたいで通り過ぎていってしまうような物であった。私は他人の作る料理にはきわめて寛容でまず大抵の失敗作でも食う自信がある。アラスカの腐っているとしか思えない渡り鳥をそのままアザラシの皮でくるんで発酵させた物を生食するキビヤック・こけのつまったカリブーの腸のボイル・オーストラリアの芋虫・蜜蟻・・げんごろうのあげた奴・ワニの肉と日本のスーパーには絶対並んで居ない物も食ってきた。それも結構おいしくパクパクと・・・。でもこの夜並んだメニューは空腹であったにもかかわらずまずい!!!。あの食いしん坊の息子も一皿でダウン・・・。
焼き鳥・牡蠣フライ・鶏の唐揚げとすべて冷え切った冷凍食品で油が悪いのかなんだか気持ちの悪いゲップがこみ上げてくるし、女性群が口に入れた、鮭の三平汁は生ぬるい上よく下ごしらえをしていないのか妙に生臭く、御飯に至っては「泥か!!!」と絶叫したくなる代物であったらしい。ここまで来ると、どんな料理人が作っているのかと好奇心が沸いてきたが、調理場をのぞくとなんだか魔界に落ち込みそうな予感がしたので、やめることにした。
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蛇足ながら、そういう食材でも盛りつけに凝っているのがおもしろく、焼き鳥をホイル巻きのキャベツにぶっ刺して立体的?に盛ってあったのは大受けであった。思わず写真に撮ってしまった。この舌の肥えている人がほとんどの時代「ほんとにそんな温泉あるのー??????」とお疑いの人もおられるかも知れない。だがホントにあるんです。
この北海道に・・・。
「営業妨害」と怒鳴られそうだから、名前は秘密です。でも今の世の中旨い物は数あれど、まずい物で一生の話題になる観光ホテルなんてそうあるものではない。もしそのホテルに当たったら、一生の記念になること請け合いである。どうです貴方も出かけてみたら・・・・
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