2004.4.20号 10:00配信




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音楽屋♪(コラム)

2004/4/19(月)―― こま ――




〜ザッハトルテ IN CAPO大谷地〜

キャポ大谷地、1周年と言うことで企画された彼らのライブに行ってきた。
事の起こりは、友人からの電話。

「うちのミュージシャンが行くから!」

え…うちのミュージシャンって…誰だべ?ザッハトルテ?なんなのそれ…。

なーんの資料も無く、ただ「行くから」ってだけでなんでか「私も行かなくちゃ!」って思っちゃって…。本当は、札幌近郊の人々にネットを通して宣伝できるサイトを教えてほしいって事だったんだけどそういうサイトを知らない私…。
あぁ〜どうしましょ。いろいろ探してみたけど、これってもんが無くて結局はお世話になっているライブハウスのサイトに告知させて頂いた。後は、札幌の友達へメールや携帯での連絡。
なんか、今ひとつ手応えが無いから

「こりゃ、私が行って、北海道には君らの応援者がおるぞ!」と喜ばせる事でもしてやるべ!って気になって(喜ぶと思い込んでいる自分があっぱれ)行く事にした。

それが先月の末の話。そう、三宅さんのライブ準備でいっぱいいっぱいの頃。で、リクオさんのライブがあって、ザッハトルテ知ってる?って聞いてみたら(京都出身だから)「パリ風で、コジャレててなかなか良いよ」と教えてくれたのでちょっと目先が明るくなって「こりゃ、いけそうだ!」と思い、楽しみが倍増した。

土曜日。ちょっと体調が思わしく無く寝坊してしまい、慌てて支度をしてデリカを飛ばした。乗り遅れる事無く汽車に乗り込み、大好きな曲たちを道連れに旅を楽しんだ。…と言う事にしたかったが、この日は天気が悪くて「あられ」が降っていた。しかも山々の雪はまだとけておらず、殺風景な景色を横目に「寝てしまえ!」と音楽聴きながら目を閉じたが、眠れない…。ツライ約4時間。

やっとのこと札幌に到着。すぐその足で地下鉄を乗り継ぎ大谷地へ。地下鉄直結・バスターミナル隣。ってことでバスターミナルを目印に前へ進む。通路を通り過ぎると、そこにはステージが。

え?ここ?あら…。

周りを見回すと、食料品売り場とか飲食店が並ぶ1階だった。外側の入り口ど真ん中にステージ。もしかして、ここで? と、キョロキョロしてたら階段から降りてきた見るからに「買い物客ではない」人物が同じように、キョロキョロ…。

あ。もしかして…。

隠れるように外側入り口の奥へ隠れるようにして、様子をうかがう。
「ロッテリアに入った!」
声をかけようか、どうしようか迷った末友人に携帯した。

「もしもし?今札幌、どハデな帽子をかぶった人物と数人がロッテリアに入った。彼らがザッハトルテか?」

携帯の向こうで「あ。それ、そうやわ。声かけてやって。こまさんの事、話しておくから」

携帯を切り、声をかけに行こうかどうしようか迷ったけどマズは、ステージを見てからにしよう…。私の「意にかなわなかった時に困る」(どんな意じゃ?)

こうして、ロッテリア以外の飲食店へ入ろうと思い、うろちょろ。ラーメン屋さん、中華料理屋さん、イタリア料理屋さん、いろいろあったけど、2階にある日本料理屋さんでとろろソバを食べた。年寄りの日本人はソバが好き。(かんけーねーだろ!)

ソバをズルズルやってると、なにやら音がしてきた。

え!始まってる?
時計を見たら、13時。
まだだべ…。
けど、気になって、さっさと食べ終えて1階に降りるとザッハのメンバーが音合わせをしている。

ここで、ザッハのメンバーそれぞれのスタイルを確認する。

左からチェロの「くるんくるん銀髪サングラス」 見るからに若造。真ん中はギターの「痩せちゃったレッツゴー三匹ジュン!」(わかるかなー) 見るからに年長。右はアコーディオンの「ステンドクラスかぶっちゃったネコ」 見るからに…年齢不詳。

そんな怪しげな3人が、あまり馴染みのない音を心地よく演奏している。

アコーディオンの音って、なんであんなに主張した音なんだろう。ギターの音って、どうしてこんなに馴染めるんだろう。チェロって…なんかスゴイ。

本番前の数分。ライブが楽しみになってきた。

午後1時半。一回目のステージ。お客さんはまばら…。けど、最初から座っていたお客さんもいて、ライブを楽しみにしているんだろうな。って思った。ステージが始まるアナウンスを聞いてか、お客さんも少しずつ集まる。そのうち、8台ほどあった長いすがすべて埋まる。3人がステージに上がってくる。ちょっと緊張気味。この日は2日目だけど、彼らにしたら初の北海道2日目。まぁ〜前日よりは緊張はほぐれているだろうけど、やっぱしちょっと緊張気味。

真ん中のギターさんが、レスリングのタイトルマッチでアナウンスするような声で「ザッハトルテです」とご挨拶。私は彼がリーダーだと思い込んだ。

とっぱじめから、雰囲気はすっかりパリの装い。目を瞑って音楽を聴くと、シャンゼリゼ通りのカフェテラスでヒラヒラのスカートを優しい風に遊ばせながら紅茶にジャムを溶かし、肩肘ついてステキな音にふけっている気分になる。

音に注目する。やっぱしアコーディオンはいい! こんなに自己主張する楽器は、ドラム以外に無い。(自己主張しすぎのドラムを聞きすぎ)もし、歌い手が居たら、歌手はアコーディオンだろう。そしてチェロ。控えめだけど、ちゃんと存在感を表している。そこがスゴイ。極めつけはギター。それとなく演奏に参加しているけどテクニックは聴いてるだけでもドキッ!とするような堅実な音を出す。

キミたちは一体何者?

「京都のお笑い芸人ではありません。ミュージシャンです。」

そう、キミたちはミュージシャンだ!私の知らない世界(自分の世界は狭すぎ…)の音が、今、目の前で演奏している!なんという贅沢。なんという出会い。なんという奇跡!

こういう出会いは、私にエネルギーを産ませる。(オヤジはだれだーっ!)

演奏の合間に、MCが入る。真ん中のギターさんがレスリングのアナウンサーのような声で、なにやら観客にプレゼントがあるという。くしゃくしゃよれよれの紙袋を取り出し、何をやらかすんだ?と思ったら!

なんと、手品。それも、安っぽい手品。テレビで笑いの種にしている手品。だけどねー。なんかねー。目の前でそんな手品を見せられると分かっていても「うぉーーっ!すげーっ!」って思ってしまうんだな。ミュージシャンが手品。これは、お客さんとの距離を近づけるための、一つの手品(しゅだん)なんだな。ただ軽音楽を聞くだけのステージではなく、なんか面白いぞこいつら。みたいな雰囲気で、楽しませてくれる。

シャレじゃなく、本気で丁寧な演奏。でも、笑いも取る。

彼らも「音楽を聞いている人と一緒に楽しむ人たち」なんだ! それが分かると、私もそれまでの「聴く体制」じゃなく一緒に音楽に交わる体制に変る。

送る側。受け取る側。そして反応。「バカの壁」じゃないけど、脳の送出力。音楽を送られて、受け取る。無感動なら反応は出ない。聴き取るだけ。お決まりの拍手でお終い。そこに何が残るのか。「ま〜良かったね」だけ。

もしかしたら、彼らの腕はまだまだなのかもしれない。音楽だけで、心を動かすほどの力は、まだ無いのかもしれない。だけど、客の心を掴むためには、今は、こんな手品が必要なのかもしれない。こんな手品が無くても、彼らは大きく育つかもしれない。

でも、私は、そんな手品で「距離を近づけてくれる」彼らがイイと思う。同じ位置で、送る立場と受け取る立場が、同一になって、共に「楽しい!」と思えるのが私は「ライブ」なんじゃないかな。って思う。

約30分の演奏だったけど、たったの30分で全く彼らを知らなかったお客さんが手拍子してリズムにあわせて笑顔で聴いている姿を見て「こいつら、すげー」と思った。

ラストの曲は、映画タイタニックの中で、主演の二人がアイルランドの踊りを踊る時に演奏されていた音楽を披露。

どんな曲だっけ?演奏に使われてる楽器とは、ちょっと違うけど楽しさ、軽快さは同じだった。踊りを知っていれば、踊ってみたいと思った。手拍子だけじゃ、足りないと思った。

最後はメンバー紹介で、チェロの坊やが「銀髪のカツラ」を取った! おいおい…。最後まで笑わせてくれるぜ最後の最後まで、エンターテイメントは続いていた。彼らは、聞かせて笑わせるエンターテイナーだ。

2ステージ目では、まだまだ聞いていたい気分になるほど彼らの音楽に愛着を持ってしまった。

アンコールは、いつか、佐呂間で…。


〜ライブ終了後〜

声をかけてみた
最後の最後まで私はギターさんがリーダーだと疑わずに居たので彼に声をかけた。チェロさんともいろいろ話しているうちに、最後に派手な帽子のアコーディオンさんと話をした。「クレイジーフィンガーズ、僕、行きました」って。おぉ〜〜さすが鍵盤弾き!…彼は何気に落ち着いていた。後で知ったこと。実は、アコーディオンさんがリーダーだったのだ! げっ…。


〜補足〜

ギターさん・ウエッコさん。MC担当。声が太くて優しそうな人。
チェロさん・ヨース毛さん。10年間クラシックをやってきたけど何故かパンクロックにハマッた人。
アコーディオン・都丸さん。リーダー。彼がザッハトルテと命名した。帽子が派手。
お3人とも、23歳(くらい)。わかい!!




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