2005.12.1号 01:00配信
いよいよ師走になりました。 新聞社もいよいよ年内の仕事のピークにかかります。 地方版の紙面整理では新年号の準備が始まりました。 その地方版、 師走になってよく眺めるのは、金融機関の訓練の原稿。 「年末を控え、金融機関を狙った強盗が発生するから、訓練を」という類のものです。 しかし、その中でよく散見されるのは、きょうもありましたが、 「犯罪の未然防止のため・・・・・・」という表現。 自己流ですが、考えると 「未然」は「未だ然らず」という漢語で、まだ起こっていないことを示します。 ですから、未然防止をそのまま訳すると「まだ起こっていないことを防止する」と言う意味になり、 重複した表現で、誤用とはしないまでも、目くじらを立てるべきではないとは わかっていても、こういった表現が新聞に出ると「何だかなぁ〜」と思うときもあります。 有名な例では「馬から落馬」「頭痛が痛い」「従来から」というのがありますな。 そういう表現、「日本語を大事にする」と銘打って僕はたまに病的に気になるときもあり、 締め切りに追われ、時間が無いときにでも、発狂するビョー的ぶりを発揮。原稿に手を入れ 「事故を未然に防止するため」といったくだりを「事故を防止するため」という表現にします。 時には1つの原稿に数カ所出てくることもあり、新聞は短い行数で多くの情報を伝える観点からも、 右手に赤ペンを持ちさながら「『未然防止』の撲滅キャンペーン」に微力ながら取り組んでます。 書く立場になると文章、稚拙ですが・・・。 たまに紙面を点検する立場で仲間の作った紙面を眺めると、 見出しで「事故の未然防止に奮闘」といった文言を見たときは、絶望した気持ちになります。 人生の終わりのような・・・・・。 (札幌支局長・ぴかちゅ) |