1999.10.3号 12:30配信


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このコーナーでは、木工芸に携わったことで気づいた、木のこと、木にかかわることを中心にお話します。
初回は北海道の木 エゾマツのこと  pine



NO1 エゾマツの勲章

 エゾマツは、常緑の針葉樹で大きなものは高さ30mを超え、北海道の冬景色を彩っている。
 エゾマツのことを、昔の人たちはシンコマツと呼んでいた。シンコはきっとアイヌ語だと思うが、最近ではほとんど耳にすることはない。
 また、エゾマツは樹皮が黒っぽい色をしているので、赤茶色のアカエゾマツに対してクロエゾと呼ぶほうが多い。
 材質が本州のヒノキに似ていることから、広く建築用材として利用され、戦後復興期には大きな需要があって管内も栄えた。
 エゾマツは、老木になると幹の周辺に変色が起きるのが特徴で、伐木するとその大きな木口に薄紫色で丸く花びらを描いたような模様があらわれる。この模様を山で働く人たちは勲章と呼んでいる。北国の厳しい自然に耐え、大きく育ったエゾマツの最後にふさわしい呼び名である。



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