1999.10.11号 07:30配信


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このコーナーでは、木工芸に携わったことで気づいた、木のこと、木にかかわることを中心にお話します。
pine




NO3 幹の成長


 木は動物のように動くことはできず芽生えたところに一生じっと暮らしているが、動物よりはるかに寿命が長い。木は根から水分や養分を吸い上げ、葉で光合成を行い糖や澱粉をつくり生きている。幹の成長は樹皮のすぐ内側で行われ、春は栄養状態や気候もよく活発に成長し大きな細胞組織に、秋には環境が悪くなるで緻密な細胞組織になって太くなる。この痕跡が年輪であるが、年輪は春材と秋材が合わさって1年輪で、普通はこの秋材の色の濃いところを数えている。

 立木に釘などを打ち込んでおくと、数年後には幹の中に埋まってしまう。牧場のまわりの木にはよく電気牧柵の碍子や針金が埋まっていて、製材工場には鋸の刃を痛めるのできらわれていた。武華岳にむかう林道のふちに鉄製の案内板を打ち付けたハンの木がある。大きな傷口をふさぐように看板の周りが盛り上がり、必死で看板を包み込もうとしている。その看板には樹木を愛しましょうと書いてある。



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