このコーナーでは、木工芸に携わったことで気づいた、木のこと、木にかかわることを中心にお話します。
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NO.6 木彫りの人形
骨董市に行って木彫りのアイヌ人形を手に入れた。夫婦の胸像で珍しく、また、繊細でリズミカルな彫り痕と豊かな表情から手の枯れた熟練の技がみてとれる、すすけていたがつい買ってしまった。
材質はシナの木、アイヌの木彫りの多くはシナの木が用いられている。材は均質で柔らかく、刃物との相性も良く、さらに、白い木肌で様々な色に着色する事ができる。さっそく石鹸で汚れを洗い落とし、植物油をすり込んでみたところ木彫りの人形は見事に甦った。太い眉、厚い唇、襟元の独特のアイヌ模様が鋭いノミ痕とともに浮き出てきた。背面は芯を取り去るように彫られ、フック用に小さな穴があけられていた。残念ながら後ろの台は失われていたが、きっと壁に飾られていたものに違いない。しかし、これだけ迫力のあるものを掛けるとなると壁がなかなか決まらない。ようやく樹齢300年のエゾマツの輪切りの板に掛けることにした。
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