2001.3.30号 07:00配信
ネパール最後の夜、僕等はホテルに着くと早々にシャワーを浴び、体を休めた。2日間滞在したベトラワティ村にはシャワーなどはないし、体を休める時間でさえなかった。ベトラワティ村で僕はある男性と約束を交わした。彼の名はイソールという。洋服店兼雑貨屋を家族で営んでいる。僕が初めてネパールを訪れ、ベトラワティ村に滞在した4年前、彼は英語もネパール語も通じない僕に、身振り手振りで話をしてくれ、ネパール語も教えてくれた。祭りの時には自分のバイクの後ろに僕を乗せ、隣町まで一緒に酒を飲んだり、祭りを見たり楽しませてれた。2ヶ月間という長い間、僕は日本語のほとんど通じないベトラワティ村で多少ながら不安を募らせた。しかし、彼は他の若者達と一緒に僕を連れだし、色々なことを教えてくれた。 ある時、彼は「隣町にかわいい子がいるから見に行こう」といつものように僕をバイクの後ろに乗せ走らせた。彼がかわいいと言っていたのは彼の彼女。出会ったいきさつから、二人の恋愛話まで、言葉のあまり伝わらない僕に事細かく話すのを思い出す。そのイソールは秋に結婚した。相手はカトマンドゥから連れてきたという。「隣町のあの子は…?」気にはなったが、深く聞くことはない。ネパールでの友人の結婚話に「カトマンドゥでパーティーをやろう!」と持ちかけたのだった。彼は僕等よりも店の仕入れのため、1日早くカトマンドゥに向かった。彼は快く「OK!」と言ってくれ、1月5日の午後6時に僕の泊まっているホテルへ来てくれると約束をした。それが彼との約束だった。 僕等は約束の時間を過ぎてもホテルで彼を待ったが、訪れるけはいはない。仕方なく僕等はシバを引き連れ、3人で主役のいない結婚パーティーをする事にした。会場はゴルカパレス・レストラン、ホテルのすぐそばにある大きなレストランだ。ちょっと高めの料金だが、サービスの良さと店のきれいさでカバーされる。この店では夜8時になるとステージ上でネパールダンスが披露される。ローカルミュージックに合わせての民族衣装でのダンス、そして映画の主題歌などのロックやポップスミュージックに合わせ、流行の衣装で踊る。店の中はそんな踊りが始まると熱気と歓声でより一層のにぎわいを見せた。楽しさのあまり僕等のビールも進む。またこうして酒を飲んでいる。しかし、この日は立派な言い訳がある。友人イソールの結婚パーティー。彼と過ごした楽しい日々を思い浮かべながら、主役のいないパーティーにグラスを傾けた。 |