2002.1.25号 07:00配信
お久しぶりです。白熊です。先日の大雪で交通機関に乱れが続いたり、年末年始の渋滞が報じられておりますが、特に先日のニュースで、吹雪の中で電車や車の中で長時間閉じ込められた人の映像やインタビュー(足がむくんで痛くなった等)を聞いてペン?を取りました。 エコノミークラス症候群という名前の病気を聞いたことがあると思いますが、この病気は長時間の飛行機移動(主に海外旅行)でだけで起きているように感じられていますが、長時間座ったままの電車やバスや乗用車の移動でも起こります。 これからの暦では春とはいえ、思わぬ天候不良や渋滞での長時間の乗車に遭遇するかもしれませんし、海外旅行の人も大勢いると思いますので、今回のテーマに選びました。この病気は飛行機の座席のような狭い場所に長時間同じ姿勢で座わったままで水分を取らずに水分不足になることで足(下肢)の血液がたまったり(う っ滞)、血液がネバネバになったり(粘稠度亢進)して、足の静脈に小さな血の塊(血栓といいます)ができておこる病気で下肢深部静脈血栓症といいます。 この血の塊が着陸後、立ち上がったり歩き出したりした時に、この血栓が肺の血管に詰まって目まいや動悸、息苦しくなったり、呼吸困難、意識消失をおこし突然倒れて最悪死に至る場合があります。急性肺血栓塞栓症といいます。 長時間の飛行機での旅行者の10%程度に程度の差はあるけど下肢深部静脈血栓症をおこすという報告もあります。ただし、人間にはもともとこの小さな血栓をとかす作用が体内にあって、そのほとんどの人が全く気がつかずに治っているのだと報告しています。 けっして飛行機のエコノミークラスにだけ見られるのでなく、ビジネスクラスやファーストクラスでも発症していますし、最初に述べたようにバス・電車・乗用車などでも長時間同じ姿勢で座っていると発症したという報告もあります。 発症した人の多く(80〜90%)は女性で特に中年以降で、身長160cm以下の方に多く見られます。これは中年以降の女性に血栓ができやすく、背が低いと座席に深くシートベルトをしめる位置に座ると膝の裏やフクラハギが座席の角に当たって圧迫して血の巡りを悪くしやすい(うっ滞しやすい)ためです。 特に窓側の席に座った場合トイレに行く場合通路側や中央の席の人にたってもらったりしなければならず、寝ていたり見知らぬ男性の場合に言い出せず我慢することになり、そのために水分摂取を制限することになり、発症の危険を増すことになるためと考えられています。 実際ここ数年の日本での発症した人のデータですけど、平均フライト時間が11時間強でその間のトイレ回数がわずかに平均0.5回、半数以上の人が0回でそのほとんどの人が離陸から着陸まで席1度も立たなかったそうです。 他には肥満傾向にあり足のシビレやすい人(下肢の血行が圧迫されやすい為)、高身長で特に下肢が長くて座るととても動きにくい人も注意して下さい。 では防ぐにはどうしたらいいのでしょうか。決して難しいことはありません。 まずじっとしていないことです。トイレに行くなど席をたって歩くことです。揺れが激しいなど席をたてないなら座ったままの足踏みやつま先の上下運動、かかとの上下運動、足首を回す、膝を曲げたままでいいから太股から足先までを軽く上下するなど。でも10時間ずーと揺れ続けることはほとんどないので、歩いたり、足踏みを適度に行ってください。 あとフクラハギを軽く上から下へ・下から上に軽くマッサージすることも大変効果があります。特に足に腫れ・むくみ・痛みを感じたら危険信号ですので必ずおこなってください。 この運動とともに大切なのは十分な水分摂取です。平均的には体重50〜60kgなら1時間に約70〜100cc水分を取ってください(羽田〜ハワイホノルルまでで500ccペットボトル1本程度)。体重がそれ以上の方はより多く必要です。 又ビールをはじめアルコールやコーヒーなど利尿効果(尿が出やすい作用)のあるものはひかえるか、より多くの水分摂取を心がけてください。窓側だからといってトイレを我慢して水分制限をするなんて決してしないでください。 電車でも席をたって歩いてください。バスや乗用車なら休憩時に車外にでて軽い運動は効果的です。渋滞のときは足踏みとマッサージを忘れずに。特に冬場は暖房が入って乗り物の中はより乾燥していす。旅行の際は一人最低1本のペットボトル(500cc)を持ち込みましょう。尚、下肢静脈瘤・妊娠・ホルモン剤服用中・足のケガの人や手術をうけて間もない人は主治医に相談してください。それではたのしいご旅行を。 白熊でした。 |