2002.1.27号 07:00配信


時差ぼけについて




前回のテーマがエコノミークラス症候群でしたので、少し関連して?今回は海外旅行時の時差ぼけについて書きたいと思います。

時差ぼけという言葉は皆さんご存じだと思いますが、どのように定義されているかご存じの方はあまりいらっしゃらないと思います。今回私自身も調べてみて知りました。

その定義とは「5時間以上の時差のある地域間を、飛行機(ジェット機)で急激に移動した時にみられる一過性の心身の不調状態で時として持続性のことがある。」

実は人間には毎日毎日1日24時間ごとの通常の生活をくり返せるように体内時計をもっています。この生体リズムをサーカディアンリズムといいます。(このリズムは、ほぼ24時間で年齢等の個体差はあまりありませんが、日照時間より長く明るい場所に居たり、音響や人と接触したりすると延長することがあります。)海外旅行にて時差が生じこのリズムに狂いを生じるのが時差ぼけと密接な関係があります。

この体内時計は大きく分けて2種類あり、一つは睡眠覚醒系で、変化に対して比較的早く反応する時計で、もう一つは体温や血圧・心拍数・ホルモン等の環境変化になかなか反応しにくい時計の2つです。

ふだんは別個ではあるが規則的に24時間を刻むのでこの2つがバラバラになり、リズムに同調性がなくなり日常生活に支障をきたすことは起こりません。しかし海外旅行で5時間以上の時差を急激に越えると睡眠系リズムは2〜3日で昼夜逆転でも対応してくれますが、体温・ホルモン系はなかなか反応してくれなくて、ここに2つの時計の刻むリズムに同調性がなくなることと、現地時間とのずれ、深夜のはずが明るいなどの外的因子がくわわり、身体のバランスが狂ってしまうために時差ぼけが起こります。

即ち睡眠系が対応するまでは外的因子で現地時間と体内時計とのずれによって、睡眠系が対応する数日後から体温・ホルモン系が反応するまでが、内的因子の体内時計のバランス不調が起こるわけです。

そのおもな症状は「睡眠障害」「日中眠い」「作業能力の低下」「疲労感」「食欲不振」「頭重感」「胃腸障害」「眼性疲労」そして「なんとなくぼんやりしてしまう」が多くみられます。

では対策はどうすれば時差ぼけが軽く済むのでしょうか。

長期滞在型の場合、多くは睡眠系が対応するまでに2〜3日、体温・ホルモン系が反応するまでに1週から10日かかる人が多く、この間が時差ぼけの期間です。

長く続く人は現地医師に相談して下さい。まず現地時間に生活リズムを合わせる。できれば飛行機搭乗後すぐに時計を現地時間にして到着後すぐに現地時間で行動する。このとき屋外(現地の自然な時間帯に接する)で人にあったりするとすぐに現地のリズムに溶け込みやすくなります。

ただしこの場合日本を基点に考えるとヨーロッパでは現地の夜が日本の明け方から朝の時間帯なので眠りにつきやすく、アメリカ西海岸は昼過ぎになるので寝つきにくいことを覚えておいて下さい。これは明け方に体温が低く眠りやすく、昼過ぎは体温が高く眠りにくいという体温・ホルモン時計が深く関与しています。

また他には、昼間に日光浴とまではいかなくても太陽の光の下で活動したり、夕方に軽い運動を数時間しておくと、眠気が起きにくく、しかも夜に寝つきやすなるので一つのよい方法です。

短期間の場合は現地時間に体内時計を合わせたと思ったら、帰国して再び日本時間に体内時計を合わせなくてはならず、難しいのです。特に超短期型旅行の場合、例えば前回のサッカーワールドカップフランス大会で経験した人もいると思いますが1泊3日や2泊4日では、時差が大きくても睡眠系が対応する前に帰国するので特別な対応は要りません。と言うより対応している暇がありません。

しかし1〜2週間程度の旅行の場合、内的要因の2つのリズム時計のバランスの悪さに対応できませんが、外的要因に対しては現地時間に対応して、睡眠障害を少なくしておいたほうが旅行は楽しめると思います。ではその中間の1週間以内ならどうしたら良いかが問題になります。個人差があり、飛行機内でもわりとぐっすり眠れるタイプの人は機内より現地時間にあわせて睡眠パターンをつけるのも良く、難しい人はつらいが無理に現地時計に体内時計を合わせずにいずれにしても、帰国後に体調が戻るまでの日程のゆとりが必要です。でも現実にはそんなに日程のゆとりのある人は少ないと思います。時差ぼけが強かったら、早めに医師に相談して下さい。

残念ながら、速く遠くへ移動できるようになったジェット時代の副産物である時差ぼけの特効薬は今のところ無く、個人差はありますが常についてまわるので少しでも対応して旅行を楽しんで下さい。特にこれからのシーズンは海外赴任や春休みの少し長期の旅行が多く、留学等もあり時差ぼけ対策には十分気を使ってください。

白熊でした


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