2003.11.14号 02:00配信


インフルエンザワクチンを接種しましょう




インフルエンザワクチンを接種しましょう

今回は今年もインフルエンザワクチン接種の推奨のお話です。
インフルエンザとSARSと肺炎球菌肺炎について今年の春に大変な騒動を起こした、新型肺炎SARSは本当におさまったのでしょうか、それとも今年の冬に再び大流行するのでしょうか。現在公的な見解発表はありません。
現在ワクチンを含むよい予防法がない以上どうすればよいのでしょうか。しかも毎年冬には初期症状がとても似ているインフルエンザが流行します。さらに高齢者の肺炎の50%を占める肺炎球菌肺炎も存在します。そこで今年は例年に増してインフルエンザの予防接種(ワクチン)を数多くの方が接種することが推奨されています。また65才以上の方にはさらにインフルエンザワクチンに加えて肺炎球菌のワクチンを接種することも推奨されています。(肺炎球菌ワクチンは5年間有効といわれています。(くわしくは既出コラムを参照ください。)今現在、防げるもの、軽減できる対策があるならそれを実施し、体力低下即ち抵抗力が低下しては万一流行したらより感染しやすくなるからです。


ワクチンはSARS対策のためだけではありません。

ワクチンはSARS対策だけでなく、インフルエンザワクチン接種を推奨しているもっと大事な理由が他にもあります。今世界では毎年流行しているインフルエンザはA型ソ連(H1N1)・A型香港(H3N2)・B型の3つのタイプがあり、わずかずつ微妙な変化をくり返していて毎年・毎年流行しているのです。そこで現在行われているインフルエンザワクチンはA型ソ連・A型香港・B型のそれぞれの亜型の流行予想をしてワクチンの内容を毎年ごとに検討して決定しているのです。毎年・毎年ワクチンの接種を呼びかけているのもこの理由によるものです。今年はA型ソ連はニューカレドニア株・A型香港はパナマ株・B型は山東株の3種が含まれたワクチンです。さらにA型ソ連とA型香港の中間型(H1N2)が新型(特殊変形?)として発見され日本でも数例確認されましたが現状のワクチンで両方の抗体をもっているとこの新型にも効果があると予想されています。感染しにくい身体になることがより重要なのです。


ワクチンの接種回数は

ワクチンの接種回数ですが、現在日本では2回接種が原則ですが、15才以上は1回接種でも可となっています。すなわち15才未満は2回接種です。私の意見としては15才以上なら過去2年続けて接種していれば、1回でもいいのではないかと思います。ただし、不特定多数の方々と接触の多い、我々のような医療関係者、警察官、消防士の方々は2回接種が望ましく、他にも多くの人との接触が考えられるバスやタクシー乗務の方々や会社等の受付窓口・営業業務の方々をはじめ他の多くの職種の方々や、狭い教室で多くの生徒を相手にする(感染させる・させられる可能性が高い)教員の方々は2回接種が推奨されます。回数は担当の先生と相談して決定してください。


新型インフルエンザの大流行は大丈夫

尚、先ほどの中間型の新型の他に新しいA型の新型としてH7N7(ヨーロッパから報告)・H5N1(アジアから報告)があり流行はしてませんが2つの新型が発見・報告されています。最近一部マスコミで新型の流行の恐れが強まりつつあり、流行すれば今のワクチンは無効で対策が無く多くの死者がでる可能性が高いとの報道があったとお聞きしましたが、私自身このTV番組を見ていないので断定できませんが、この聞いた通りなら一部正しく一部間違っています。確かに今のワクチンは世界大流行を起こすと思われる新型には無効ですが同時期に流行る現在のインフルエンザには有効でSARS対策と同様の意義があります。また新型はA型の1種と想定されるので有効と思われている薬もあります。WHOも既に対策に向けて始動しております。ただ世界大流行になったらSARSよりも感染力が強い可能性もありますが、パニックに陥ることは無いと思います。ただ日本人は「流行するかもしれない・流行ったら大変になる」ので、予防するということには本当に関心がうすく、「流行ってから」というより「大流行になっています。今すぐ対応を」というマスコミ報道にとても関心が高く、パニックを引き起こしたり、後手後手の対応や緊急の対応になりがちです。そのため予防対策が取りにくく、理解してもらいにくいのが現状です。しかし事前に十分情報を収集し、その時点、その時点での最善の対策を取れるよう我々医療機関も努めますので皆様もワクチンを接種した後も、SARSや新型インフルエンザの情報にには十分注意を払ってください。

ぜひこのコラムをお読みになった方はご自身だけでなくより多くの方々が、今年もインフルエンザワクチンを接種されるようお伝えください。そして少しでも多くの予防策を築きましょう。

北海道でのインフルエンザの流行は例年12月下旬〜4月下旬までですのでワクチン摂取後抗体ができるのに約2週間かかりますので、遅くても12月上旬までには接種することが望ましいです。

白熊でした。



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