2001.5.10号 07:00配信
|
RealPlayerのストリーミング再生やらなんやらが当たり前のようにwebsiteに置か れ、いつの間にか「ブロードバンド」(広帯域)が世間の共通語になってしまった昨今。わが愛機(MMX166、96MBmemory、ISDN64Kbps)でRealPlayerストリーミングを使 うと、重くて遅くてお話になりませんのに、技術進歩は本当に早いものです。 @niftyも、映画の「ビデオ・オン・デマンド」サービスを始めるなど、家庭レベル でもブロードバンド導入について本格的に検討される時代が来たのかも知れません。 そこで、最近話題のブロードバンドについて考えてみました。 そもそも、ブロードバンド(広帯域)ってなんなのでしょうか? 細かい技術的なことはさておき、インターネットでデータをやりとりする際の速度 =伝送速度は、伝送に使用する周波数の範囲に左右されます。この範囲を帯域幅(バンド)といいます。 帯域幅が広ければ広いほど、伝送速度も早くなるわけです。伝送速度は、bps(bit per seconds=1秒当たりのデータ伝送速度)で表されてます。 つまり「広い帯域=伝送速度が速い」から「ブロードバンド」なのですね。現在で は、だいたい512Kbps以上でブロードバンドと言われるようです。大容量回線も同じ 意味です。 われわれがアナログモデムでインターネットに接続する時には、一般家庭に引き込 まれているNTTのメタリックファイバー(銅線)が使われます。この銅線は、帯域幅 が「4kHz(キロヘルツ)帯」といい、元々電話で音声をやりとりするために設計され たものです。300kHz〜340kHzが使用されていまして、声だけならともかく、この帯域 でデータ伝送を行うには、56Kbpsが技術的限界と言われています。現在、主流のアナ ログモデムがこれですね。 そこで、ブロードバンドの一つ、xDSL(x Asymmetric Digital Subscriber=非 対称デジタル加入者線)が登場します。よく韓国のIT社会を紹介する際に出てくる技 術で、日本でも徐々に普及しています。なぜ「非対称」なのかは後述します。 xDSLは、上述の銅線をそのまま使い、ISDN64Kbpsの8〜128倍に当たる512Kbps〜 8Mbpsの高速常時接続を実現します。 アナログ加入電話線で4kHz帯を超えるデータを流すと、加入者の電話線が集まる NTTの交換局などで、ほかのデータ伝送を邪魔してしまう現象=干渉が起きてしまう のですが、4kHzを超えるデータを流しても、変調して干渉しないよう技術的に工夫さ れています。 xDSLはさらに、使用する技術やそれに伴う伝送速度の違いから、「ADSL」「HDSL」 「SDSL」「VDSL」の4種類に分けられます。 このうち、日本で使われているのはADSLです。 NTTはこのADSLの定額制常時接続サービス、FLET'S-ADSLを現在展開中です。下り (ユーザーを主体と考えた場合、データを受ける方。wwwの画像を落とすとか)が 1.5Mbps、上り(同じくデータを送る方。メール送信とか)が512Kbps。上りと下りの 速度が違うから「非対称」なのですね。 この速度はあくまで最高速度であって保証されたものではなく、設備状況や他回線 との干渉、通信設備などの影響により変わってくることがあります。 料金は、月額4050円〜5700円、初期費用に20000円前後。それに、プロバイダ料金 が加わりますから、月額総計で7000〜10000円になるでしょう。 ここで、住んでいるところがサービス地域に入った場合、FLET'S-ADSLは導入か否 かと迷うわけです。確かに、ISDNに比べ24〜8倍の通信速度は魅力ですが、逆に、最 初に20000円、月10000円もかけて、ISDNの最大24倍の速度しか得られない、と考える と、ちょっと躊躇しますね。 さらに、躊躇するのは、有線放送の有線ブロードネットワークスが、光ファイバー を家屋まで直接引き込み、100Mbpsの常時接続、しかも安価で実現したからなので す。 100Mbpsがどれほどすごいかと考えるに、 1Mbps=1024Kbpsだから、ISDN(64Kbps)は0.0625Mbps つまり、 有線の100Mbpsは、100/0.0625と計算して、 ISDNの1600倍。 同様に、アナログモデムの56Kbpsと比べると 1800倍。 NTTのADSLと比べても 100〜66倍 もの速さになるわけです。 大手プロバイダが「札幌−東京直結1.5Mbps」なんて広告を出していたのがつい4〜 5年前ですから、まさに隔世の感があります。 料金は月額4900円で、モデムレンタル料が900円。プロバイダ料も不要です(有線 がプロバイダになる)。初期工事に30000円かかる点が、特に転勤族にとっては痛い ですのですが、それを差し引いても、これはかなりの魅力ではないでしょうか。 まだ、サービスは東京都内の一部でしか始まっていませんが、全国に広がるのは時 間の問題でしょう。 NTTは当初、2005年までに共用回線を、その後各家庭への引き込み線を光ファイ バー化する予定でしたが、すでに光ファイバーを使った最大10Mbpsの光IP通信網サー ビスの試験を始めるなど、xDSLを飛び越え、光ファイバーを使ったMbpsの高速サービ スが登場してきています。ここ数年内に全国に広まるでしょうし、事業者間の競争も激しくなるでしょう。 もともと、xDSLは、光ファイバーが敷設されるまでのつなぎ技術として出てきたも のですし、高い工事費をかけてADSLを入れるくらいなら、少し待って有線の100Mbps を入れた方が得ではないか、と考えている今日この頃です。 というか、そもそも、まだNTTのADSLすらそれほど対象地域が広まっていないし、 北海道ではいまだにフレッツISDNが使えない地域もあるんですけどね。 余談ですが、日本のブロードバンド普及が遅れた原因の一つに、NTTがISDNに固執 したことが挙げられます。NTTはxDSLに対して腰が重かったのですが、その際、上記 の干渉を理由にしていました。 しかし実際には、ISDNに過大な投資をしていたため、ISDNの投資分を回収すること を第一義に考えていたため−というのが実状のようです。実際、xDSLのサービス事業 者に妨害のようなことまでやっています。 http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/ITPro/NEWS/20001024/1/ http://www.zdnet.co.jp/news/0010/24/ntt.html リアルネットワークス http://www.jp.real.com/ 有線ブロードネットワークス http://www.usen.com/index2.html NTT東日本FLET'S公式サイト http://www.ntt-east.co.jp/flets/ P.S.ところで、ブロードバンドを導入して何をやるかって、結局ムフフな画像を収 集したり、ヘヘヘなソフトを収集したりするだけなんでしょうね、σ(^-^)の場合。 |
【index|Back|Next】 |