2006.3.19号 20:00配信


平成18年第2回湧別町定例議会第4日目から

3月15日(水)9:30〜16:55 by Tany


【序幕】
 
 本日の傍聴には、嬉しい出来事がたくさんあった。
 はじめに話しっちゃおうっと。
 
 議会が始まってまもなく、9:50には傍聴者が3名になった。10:00ころそれに5名が加わる。計8名。なんと、5名のうち4名はご婦人!!
 後でわかったのだが、ご婦人方は民生委員の方々だ。初めての傍聴だという。
 
 M氏も再度の傍聴。「郷土史研究会」へ入会するよう誘われて承諾する。現在やっているテーマが魅力的だ。昭和3年頃の町並み地図を作成しているという。まったく生まれていない頃の地図! これって面白そう。
 
 H氏も現れた。最後まで傍聴されたので、話し合う機会がたくさんあった。氏は「湧別町の将来を考える会」の会長さんだという。入会を勧められる。4月上旬に総会があるらしい。これにも参加することになった。
 
 なんにでも勧誘されるままに入ってしまうと、自分の時間がなくなってしまう!
 入会させていただくが、あまり勤勉ではない旨、丁寧に断りをいれたつもりだが、さて、さてどんな未来が待っているか。「私の将来を考える会」とかなんとかを立ち上げなければならなくなったりして……
 

【第1幕】一般会計予算の説明始まる

 今日も議員は全員出席! 対面のひな壇もギッシリ!
 
 ベルが鳴り響くと、例によって「起立!」「礼!」。
 礼をするときみんなで声を合わせて「お早うございます」
「着席!」
 と、今日は議会事務局長が小さな声で言うのが聞こえた。「着席」という前にサッサとみんな座ってしまう場合は言いそびれて、いわないこともあるようだ。せっかく事務局長が号令をかけるのだから、礼儀正しく号令に従っては? なんていうのは余計なおせっかいか!
 
 着席すると、押野議長は開口一番、「お早うございます」
 すると全員、再度「お早うございます」
 湧別町議会は、二度「お早うございます」して、始まるのだ。いいな、いいな!朝の挨拶って何回いったって爽快だ。さぁー、爽やかに審議を始めよう。
 
 冒頭に、本日は「議案49号 平成18年度湧別町一般会計予算案」への質疑を行うと議長が宣言。お年に似合わず(?) 明瞭にして高らかな議長の声に思わず武者震い。いよいよ始まるぞ……
 緊張!緊張! って、傍聴者が張り切ってどうする?
 張り切るのは議員諸公のお仕事だ。
 
 と、議員席を見ると、ある議員の予算書には赤、ピンク、オレンジの付箋がいっぱい! ウーン、やってる、やってる。それにしてもred系の好きなお方だ。隣の議員はなにやらぎっしり書き込んだリポート用紙を慌しくめくっている。質問のカンニングペーパーを暗記しているのだろうか? 向こうの議員の予算書は色とりどりのマーカーで塗りつぶされていたり……
 すごい、すごい。
 湧別の議員は勉強しているぞ! まるで、試験前の中学生だ。ワクワクしてくる。どんな質問が展開されるのだろうか。

● 日程第1 会議録署名議員の指名が行われる

● 日程第2 議案第49号 平成18年度湧別町一般会計予算について

 議長が審議の手順を説明する。
「先例に従い、歳出、歳入の順に審議します。歳出は1.議会費〜5.労働費までを一括審議、その後6.農林水産費〜14.予備費を一括、最後に歳入を審議します。」

税財課長が説明を開始する。
大項目(款)は次のとおり。
1. 議会費 …… 45,888千円
2. 総務費 …… 965,081千円
3. 民生費 …… 319,767千円
4. 衛生費 …… 161,727千円
5. 労働費 …… 147千円
6. 農林水産費…228,218千円
 
 課長はこれらの内容を、「定例会議案書」(P124〜P131)、「湧別町一般会計予算説明書」(P1〜P218)「予算説明資料」(P1〜P26)を駆使して、説明していく。
 議員たちは熱心にこれら資料のぺージをめくり、メモを取り、必死にフォローしていく。職員も同様。
 いずれにせよ、その熱心さは補正予算のときとは大違いだ。
 ウーン、済んだことより、未来に興味があるのだ。それはそうだ。支払ったものをとやかく言っても始まらない。それに収入より支出に関心があるのだ。それも、そうかもしれない。家計だって、収入なりに、支出をどうするかが問題だものね。
 
 傍聴者は何も資料がないから、ロビーに置かれた資料から必死で転記しておいた上記大項目を眺めるのみ。説明をメモしようとしたのだが、これはまったく無理とすぐに判明して、放棄する。
 
 だってねぇー……
 
 資料によると、金額の多い「2.総務費」の内訳は次のとおりだ。
 1項.総務管理費 …………948,009千円
 2項.徴税費 ………… 4,469千円
 3項.戸籍住民基本台帳費 1,928千円
 4項.選挙費 ………… 8,926千円
 5項.統計調査費 ………… 467千円
 6項.監査委員費 ………… 1,282千円
 
 では中でも金額の多い「1項 総務管理費」とは一体なぁーに? その内訳は次のとおり。
 
1目 一般管理費 ……701,992千円 △50,230
2目 文書広報費 …… 6,318千円 △4,644
3目 会計管理費 …… 3,198千円 1,920
4目 財産管理費 …… 85,664千円 4,387
5目 企画費 …… 6,464千円 △1,303
6目 地域安全対策費…… 8,551千円 △4,824
7目 電子計算費 …… 45,374千円 13,680
8目 国際交流費 …… 4,903千円 △2,794
9目 自治振興費 …… 34,466千円 18,043
10目バス運行費 …… 51,045千円
11目諸費 …… 34千円 △88
(△は前年度に比較して減)

じゃぁー、7億円も使う「1目 一般管理費」ってなぁーに?
(1)給与費 ……680,568千円
(2)行政関連審議会等に要する費用…… 312千円
(3)職員研修に要する経費…… 2,451千円
(4)職員構成に関する経費…… 1,101千円
(5)庁舎内事務機器等に要する経費…… 2,099千円
(6)札幌湧別会に要する経費…… 50千円
(7)その他一般管理に要する経費…… 15,411千円

大部分は給与である。役場職員95名の人件費、町長給与1536万円を含めて6億8千万円ほど。

 税財課長は、こうした各予算の前年度比の増減、その理由などをいちいち、最高の早口で説明していく。それにしても、税財課長職とは大変な仕事だ。
 
 ともあれ、この傍聴者、課長の説明を聞いても資料なしだからまったく分からない。いろいろな理由を述べるのだが、何の理由を述べているのかすら分からなくなる。議員たちが必死に資料を見ているのもむべなるかな! 一瞬気を緩めたら、なにがなにやらサッパリ分からなくなってしまうかも。
 
 10:00頃入場された女性を含む5名の傍聴者は目をパチクリするばかり。傍聴4日目で傍聴プロになったつもりのこのおじさんだって、まったくわけが分からないのだから無理はない。
 
 「農林水産費」まで説明終わって、10:10ころ水が入った。休憩だ。
 これこそ真の意味での休憩。第一、税財課長がこのままでは続くまい。議場の中の全員が疲れている。湧別町議会は疲れる!疲れる!

【幕間】

 来場された4名のご婦人は民生委員の方々だと分かった。はじめて民生関係の予算審議を見たくて傍聴に来たという。
 
 そこに町立図書館長のNさんが現れた。議場内の紅一点はNさんだったのだ。民生委員の方がたとは顔見知りらしく、3Fロビーは華やかに話が弾む。
 
 民生委員の方は、口々に
「前もって勉強してこなけりゃ、まったく分からないわね」
「そうね、前年度の予算書で、あらかじめ勉強会を開いた方がいいかも」
 N館長が助け舟を出す。
 議事運営の慣行や、予算審議順などについて、ひとしきり、3Fロビーはにぎやかである。


【第二幕】「一般会計歳出予算」質問開始!
 
 10:30、審議再開。
 
 議長は注意事項を読み上げた。
@ すでに議運委員長から指示あったとおり、質問者は上程されている事項についてのみ意見を述べ質問してください。関係の薄い質問は許可しない場合があります。
A 回りくどい表現を止め、簡潔に質問してください。
B 職員側も、簡潔明瞭に説明、答弁するように心がけてください。
C 説明、答弁が分かりにくい場合は、同じテーマについて何回でも質問が許されます。
(同一テーマには3回までの質問に制限されているらしいことが後から分かった)
D 円滑に議事が進行するよう各人心がけてください。
E 質問するときは、予算書のぺージ、事項の番号を最初にいってください。

 ウーン! なるほど。一々ごもっとも。
 それにしても、こんなことをわざわざ注意喚起するのは、過去に発生した荒れた議事進行の名残りなのか、それとも最近エキサイトした場面が展開された後遺症なのか?
 やっと、やっと期待シーンの開始だ。議長注意によって、白熱した議論展開を熱望する傍聴者の期待は高まってくる。ゾクゾク!

 それでは、審議の模様をテーマ別にお伝えする。詳細を記述できないのが残念。

● [町長公宅などの解体]
昭和47年に建築、平成7年に改修した町長公宅に、現町長は住んでいない。役場近くに居宅を所有しているからだ。解体して跡地は公園の延長として整備する予定という。
執拗な議員からの質問の根負けし、他の解体予定建造物とあわせ、建築材料のリサイクルを視野に入れて解体することになる。審議途中で出された、今後役場から遠くに住んでいる町長が選出された場合どうするかといった質問に明確な回答は出されなかった。
解体予定建物の中にある芭露の隔離病棟の代替は、隣町の道立紋別病院へ。
芭露の湧網線旧駅舎、地区住民との話し合いで、保存せず解体することになる。跡地は町の支援を受けて花壇にする。
また、来年以降、解体する建物の予定は当面ないそうだ。
(質問者)2中川、5鈴木、7石垣、8広田、9村川、13中谷

● [芭露診療所]
北見のM医師が週2回診療の約束で契約した(45万円/月)。まもなく医師の都合で週1回となる。しかもほとんど半日診療。こんご、さらに来診回数が減る恐れもある。深刻な問題だ。
結局解決策は出なかった。週一回、全日診療を交渉していくことになる。
(質問者)2中川、7石垣、3久保、

● [敬老会]
敬老会の予算は縮小を続けている。次年度はさらに縮小、文化会館で2日、特養オホーツク園で1日となる。敬老会は今後も縮小しながら続行することになる。
(質問者)5鈴木

(近隣町村では一番手厚い敬老会を行ってきただけに、行財政改革のあおりで縮小するのは、なんとも残念だと、Tanyは思う。
 なんでも削減、縮小ではなく、特色ある予算項目は維持、あるいは拡大するのがよい。
 ところがこれを妨害するのは、町村合併だ。合併すると、低水準に合わせるざるをえないらしい。そこで、湧別町も、合併を予定して全般的に水準を下げ始めているのだろう。)

● [緊急通報システム]
ケータイで代替できないかと議員から意見が出るが、現在100台あって、独居老人宅で79台が稼働中、ケータイでは代替できないとなんとか結論。
(質問者)4小形
(質問議員の勉強不足露呈、答弁も核心を突いていなかった。)


12:00になって休憩宣言。

 午前の部を終わって、傍聴者が分かりにくい理由を考えた。
 多分質問回数が制限されているからであろう。1回の質問で、質問内容が極めて多岐にわたる。たとえば、午前最後の質問者4小形議員の質問項目は次のとおりだ。
 [4小形議員]
@ 庁舎ネットワーク整備工事 ……4,364千円
A 委託料(産業廃棄物、コンピュータ保守点検、HP作成)…… 13,124千円
B 自治振興奨励費……2,000千円
C 在宅介護支援センター……395千円
D 緊急通報システム機器借り上げ料……3,170千円
E 総合検診委託料……27,409千円
F 公害対策に要する経費……803千円
G 新規就労者歓迎会……126千円
 
 議員は、これらの項目について理由を述べながら質問していった。質問が一渡り終了すると、税財課長、総務課長、企画課長、民生課長、保険福祉課長が次々と応答する。答弁が不十分なら重ねて議員は質問する。といった次第で進行。話題があちこちするから、傍聴者には理解しにくい。
 
 話題を一つに絞って順に審議した方が、こちとらには分かりやすいだろう。他議員が同時にまとめて関連質問すると、さらに分かりやすくなるのではなかろうか。審議の進行を見ていると、他議員は自分の質問のさい、同じ話題を別の角度から質問している。こうして話題が拡散し、傍聴者にとっては、理解しにくさに拍車がかかる。
 
 現在の審議形式は、議員の疑義に行政側が答弁する、議員中心のシステムにほかならない。行政が作成した予算案を議員諸氏にご理解願うといったシロモノだ。
 
 これでよいのだろうか? 町民こそ予算案を理解しなければならない。 町民に理解しやすい審議形式を考えてほしいと思う。傍聴者が理解できる審議なら、議事録も分かりやすくなる。傍聴しなくても後刻議事録を読むと、問題の所在、現状での打開策がスンナリ理解できるようになるだろうに……

【昼休み】

 役場前のレストラン「フェリーチェ」に行く。
 ドアを開けると、右手の窓際の席で、OL風の二人がスパゲッティを食べている。
 左手の窓際には4人のお母さんと中学制服の男子生徒3人。
 
 ずいぶん混んでいるなぁー。
 カウンターで「エビドリアランチ」を頼んで、空いていた昨日の席に腰を下ろす。
 
 そこへドヤドヤと母親と女子中学生の娘3組はいってくる。3人の娘たちは奥のテーブルに座る。これで満員だ。お母さんたちはしばし、オーナーと談笑して別の店へ移っていった。話に利き耳を立てていると、本日は中学の卒業式。それでフォーマルスーツを着込んだお母さんたちのなぞが解けた。
 
 女子生徒はさっさとケーキ+ドリンクを頼む。ところが男子生徒は注文が決まらない。結局、ウーロン茶を頼んで、3人して出て行った。コンビニで弁当を買って戻ると、レストランの中で食べ始めた。えっっ! そんなのあり? 唖然とするばかり。
 さて、エビドリアだが、これは素晴らしい。大きなエビがゴロゴロ! サロマ湖特産のホッカイシマエビだ。素材がよろしいので、おおまけの★★★★★。


【第3幕】質問続行する!

 手元の取材ノートの中から、主な話題をまとめた。このほかにも多岐にわたる質問が出されたが、ここに掲載するほど、質疑・応答の内容が理解できなかったので、省いた。熱心に討議していた議員さん、答弁した課長さん、ゴメンナサイ! そして、読者の皆さん、期待に添えなくてゴメン、ゴメン!

● [地域交通対策]
名寄線・湧網線交通対策協議会負担金、生活交通路線維持などの経費(14,714千円)が毎年変化するのは、バス会社の赤字額のちがいによると説明。
(質問者)6羽田

● [住基ネット]
保守・点検に多額の費用(566千円)がかかるが、カードの発行数は16年2枚、17年7枚、町で使用するというよりは国で使っている。(質問者)8広田

● [定住促進住宅への補助]
質疑が行われ紆余曲折の結果、最高80万円の助成は、定住する人への補助で新築住宅が対象。
住民の二世代住宅の新築なども対象にすると説明された。質問はあちらこちらしたが審議終了までには長時間かかった。
(質問者)8広田、6石垣
(隣町上湧別が20+80=120万円給付しているのに、湧別町が少ないのが問題の焦点。そういえば、京都の美山町(合併して南丹市)では、りっぱな家まで建てて定住者を募集していましたね。)

● [子育て支援]
行政改革によって子育て支援課が発足する。湧別保育所新設に伴い、同所に子育て支援センターや児童館が併設される。しかしその内容は、予算書で見る限りこれまでと変わり映えしないと議員に詰め寄られ、審議難航する。
(質問者)9村川、11深沢、

● [バスの運行]
町営バスの運行経費(51,045千円)、バス待合所の新設・管理について。
(質問者)10坂東

● [難病者対策]
道が対策をやめたら、町も対策がやめるというのはいかがかと問題となる。実情を把握して対策しようということになる
(質問者)10坂東

【休憩】13:57〜14:15


【第4幕】 多くの視点からのさまざまな質問!

● [選挙費]
次年度行われる知事選挙費(4,328千円)、町長選挙費(4,274千円)の倹約が討議されたが、うまい考えは出なかった。
(質問者)7石垣

● [老人バス]
老人福祉バス(357千円)、老人バス(9,169千円)高齢者ハイヤー通院(920千円)を巡って討議。とくに老人バスの運賃補助が通院などの目的に正しく使われていない点が問題となる。
(質問者)7石垣

 定住促進予算で、助成金受給できる条件をめぐって紛糾。
 14:55〜15:10まで、水入り休憩となる。
 
 15:10再開。

● [臨時職員の雇用]
平成18年4月から、これまで採用していた臨時職員(28名?)のかなりの部分が派遣職員で代替される。その状況について質疑応答。とくに臨時職員の保育士3名、保育所内給食の臨時職員に関して討議される。
(質問者)9村川


 15:40頃、11深沢議員のこども支援課に関する質問で紛糾。子育て支援、青少年問題、保育所、児童館、母子保健対策、少子化対策などの一本化が、予算に反映されていない。行政はどのように支援していくのか? などについて質問すると、助役が答弁するも納得えられず。
 水入り休憩となる。
 
 16:00、再開。

[町長の子育て支援課に対する見解]
 湧別保育所に子育て支援課を設置して、子育て支援を一本化していきたい。子育てに必要な事業を総合的に実施する。芭露、登栄床の保育所には移動子育て支援相談事業を展開する。少子化対策については、先進地の様子を見て、模索しながら実現してゆきたい。町民の理解の中で子育て支援を円滑に実施したい。

● [除雪・廃雪]
経費節減のため、除雪は15cm(これまでは10cm)の積雪によって行っている結果、除雪回数が減少している。予算は過去3年間の平均で算出した。
(質問者)2中川

● [ホルスタイン共進会負担金]
これは農業者若者の勉強会の場だ。前年度比較予算が減少しているのは、農協の後援もあり、自立して運営できるとみなされているから。平成20年度まで継続することが再確認。
(質問者)3久保

17:02散会


 以上、傍聴者Tanyが理解できた範囲の話題をまとめて掲載した。前述したように、これら以外にもたくさんの問題が討議された。力不足ですべてまとめることはできなかった。読者の皆さんにお詫びするとともに、熱心に質問されていた議員の皆さんにもゴメンネである!
 
 ところで、一般会計予算の傍聴して思った。
 
 予算案は行政が作成し、町長が提案するのは分かっている。でも傍聴している限り、予算案に対する理解度は行政と議員の間に大きな隔たりがあるのだ。予算案を作成するとき、相互の相談はなかったのだろうか? 議員はまるで白紙状態で質問しているようにみえる場合が多かった。その結果、相互の意見が妙に食い違って、無駄な時間を費やしていたのではないか?
 
 小さな町だ。議員は町民から御用聞きして、町民の希望を集約し、それを行政と相談して予算案に反映する。こうして、町議の意見を取り入れながら予算案が作成されていたら、また事前に行政・議会間で説明会、勉強会を開いて、予算案を練り上げていたらもっと手際よい議事進行が展開しただろう。
 
 だからといって、審議を効率化して、審議時間を短くせよといっているのではない。
 行政・議会双方が事前に討議してすでに了解済みの問題でも、審議を通して丁寧に解きほぐしていただきたい。時間がかかってもよいのではないだろうか。それぞれの議員間の意見の食い違い、行政と議会の食い違いもふくめて、初めて傍聴した町民でも問題の経過、予算化の妥当性が見えるように審議してほしい。町民傍聴者もそれなら理解しやすい。その審議議事録もまた分かりやすいものになるだろう。
 
 情報公開の声が全国津々浦々に鳴り響いているが、情報は公開されたからといって価値を持つ、つまり有益になるわけではない。いうまでもなく、その情報が理解されてはじめて町民に役立つのだ。町議会の審議は議事録として保存され公開される。議会における審議が現在のままでは、議事録があとになって有用かどうかはなはだ疑問だ。聞いていて理解できない議事が、議事録となっても理解できるはずはないと思う。

 行政という、町議会という、町民にとってのブラックボックスが透明化されない限り、町政が町民の手に渡ることはない。町民が議会を傍聴する、議員も、行政も、町民が理解できるように審議を尽くす。それが町議会ではなかろうか? その結果、町議会が町民・議員・行政の相互理解の場になるとき、相互間の疑心暗鬼が消え、町政が町民の合意の上に進行するのではないかと強く感じた一日であった。

 (四日目 終わり)




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