2003.6.20号 01:00配信
サロマ湖のほとりにある生徒数9名の小さな学校に札幌交響楽団の弦楽四重奏がやってきました。札響「あすなろコンサート」です。当日、学校の体育館には生徒達とともに地域の人達も集まって和やかな雰囲気でした。 楽器は第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリン、そしてヴィオラにチェロです。観客も少なければ舞台もなく、もうすぐ目の前での演奏となりました。木造の体育館に素敵な音色が響きます。 演奏を聴くだけでなく、コーナーを設けて楽しい演出もありました。そのひとつ、「楽器のお話し」ではヴィオリンの成り立ちを丁寧に教えてくださいました。ひとつひとつ木を削って作られること、表の木は松、裏の木は楓。手の部分は黒檀、弦は羊の腸の繊維を用いていること、弓は馬のしっぽの毛で、その細かなギザギザで弦をこすって音が出ること。弦を指で押さえて響く長さを変えることで音の高さが変わることなど、分かりやすい説明に子ども達も真剣に聞き入っていました。また子ども用の小さなヴァイオリンを実際に手にさせてもらったのも良かったですね。 ヴァイオリンはこの中では一番小さくて高い音色、チェロが大きくて低い音、そしてヴィオラは大きさも音の高さもその中間。楽器によって音色は様々で、それぞれ音の違う楽器が上手に役割分担してそして初めていい演奏になることなど、やさしく教えてくださいましたね。 バッヘルベルは300年前の音楽家だそうです。そしてその作品『カノン』は「繰り返す」という意味なのだそうです。少しずつ違った繰り返しを良く聴いて楽しんでくださいと言われて耳を傾ければ、それぞれの楽器が時には主役になり時には他の楽器の引き立て役になり、音を合わせることの楽しさを十分に堪能できました。 次は「みんなで歌おう!」のコーナーで、幌岩の子ども達のきれいな歌声も聞かせてくれました。札響を伴奏に歌った校歌は思い出深いものになるでしょう。それにしても幌岩の校歌はいいですね。 「やわらかクラシック」のコーナーでは、ピチカートの手法だけで演奏される『プリンク プランク プルンク』も楽しかったし。『ワルツィング キャット』は始まれば聴いたことのある「ネコのワルツ」でした。楽器が奏でる音が、本当にネコのようでしたね。『ハンガリア舞曲第5番』も懐かしかったですし、歌劇『カルメン』の内容は、子ども達には説明のしにくい男と女の物語ですという説明も笑ってしまいました。 最後に演奏してくれたアニメのテーマからの『It's a small world』と『もののけ姫』と千と千尋より『いつかどこかで』はとても良かったです。音楽の楽しさを伝えたいと言われた目標をしっかりと達成された気がします。 みんなが集った体育館の窓からは、サロマ湖を渡る風が心地よく吹き、暖かな日の光が降り注いでいました。また演奏が終わった途端、カッコウの声も響いてきました。こんな素敵な場所で、元気な笑顔の子ども達と一緒に素敵な演奏を聴けたことがとてもとてもうれしかったです。いい時間を本当にありがとうございました。 |