皆様のおかげで、何とか復刊に漕ぎ着けて、事務局として少し安心いたしました。
昔なら全員が校正に何回も集まって、読み合わせをしていたのが、各自のフロッピーの持ち寄りで、編集長が得意のパソコンを操作して、簡単に印刷用の版下が出来上がるのを見てびっくりしてしまいました。
便利になった分、書くことに専念できれば良いのですが、前号から一四年、私も馬齢を重ねただけ、馬力もなくなってきています。
しかし、身の回りを見ても、時代は益々混迷の色を深めていることを感じます。
そんな時であるからこそ、『青インク』のような、職場で気楽に自分たちの考えを表現できる場が今、最も必要だ、と思っています。
駄馬のごとく、何事も焦らず、諸先輩方の業績を汚さず、確実に発刊の歩みを続けていきたいと思いますので、末永くご支援のほどお願いいたします。 (T・M)
今年の二月に『青インク』発刊準備会を開催してから早八ヶ月が過ぎました。今皆様のお手元に青インク第五八号、復刊第一号をお届けすることができて、ほっとしています。
その間、公私ともに様々な出来事がおこり、とりわけ東海村での臨界事故は、最先端であるはずの科学技術現場で使われたバケツ、というショッキングな実態に多くの人々が驚かされました。しかし、私たちに本当に必要なのは、その原因を会社や個人に帰し、その責任と改善を求めることではなく、バケツをつかっても危険のない安全な科学技術なのではないでしょうか。
今回は一〇人の方から作品の提供を頂きましたが、創作は一編にとどまりました。今後は詩や創作の投稿を大いに期待しています。
本号の校正の最中に、細川さんが今回エッセーのテーマにされた小説「銃口」の作家、三浦綾子さんの訃報に接しました。謹んでご冥福をお祈りいたします。
(T・K)
|