北大流氷レーダー速報:
1月17日09:00 北大流氷レーダーは 網走北東20kmに氷影を捉えました。レーダーによる流氷初日です。オホーツク海は流氷の季節を迎えました。
1月20日 北海道オホーツク海沿岸大雪、北見枝幸に流氷一部接岸。ロシア漁船3隻、流氷に阻まれている模様。無線交信なし、巡視船捜索中。北大流氷研究施設は、日替わりで北海道沿岸の流氷分布をインターネットで速報中です。
アドレスはhttp://www.hokudai.ac.jp/lowtemp/sirl/sirl.htmlです。ご利用ください。流氷再来とともに流氷便りも再開です。
11月からの休刊、平にお許し下い。
蕎麦や出前にならぬよう努力します。
さて、今回の話は、流氷の赤ん坊−氷晶−です。
1998年の厳冬、紋別オホーツク・タワーの水面か7mの海中展望窓から、きらきらと輝く不思議なものが見えました。あれは何かとの問い合わせ。流氷の赤ん坊−氷晶−です。これまで氷晶はごく海面に近いところで発生すると思われていたので、内心驚きました。僕らは、これに「氷海のダイアモンドダスト」と命名、テレビ局は やって来わ・・で、一躍観光の目玉商品候補となりました。でも、その後、さっぱり現れないではありませんか。
ではと、紋別の道立流氷科学センター厳寒体験室に置いた水槽で様子を窺うことにしました。凍らしては融かし、凍らしてはまた融かし、何度繰り返しても平坦な氷が成長するだけです。現場の海と違うのは波だ!と、扇風機で波を起こさせたり、水槽に振動を与えたりで大忙し。結果的には、表層を擾乱させて「ダイアモンドダスト」発生に成功。過冷却に近い 極微少冷水塊が沈降して結晶化、成長して可視できたのでしょうか。
雪の結晶形と成長条件の関係を明らかにした「中谷ダイアグラム」で有名な中谷宇吉郎先生は「雪は天から送られた手紙である」という言葉を残されました。悔しいほどの名文句ではありませんか。最たる不肖の末弟子である僕は、恩師の向こうを張って「氷晶は 海からの便りである」と嘯いている次第です。怠慢、かつ、ノンビリズムの私、殊勝にも、これまた「中谷実験」のアナロジーで人工的に氷晶を発生させ、氷晶の形と海水環境の関係「青田ダイアグラム」をと決意。あわよくば観光客相手に「氷海のダイアモンドダストと舞うクリオネ・ショー」とでも銘打って金儲けも夢ではないと、舞台を北大流氷研究施設低温実験室に移して実験再開!さて、この目論見うまくいくのでしょうか。お話の続きは次回で。
皆様、是非、流氷を見に来て下さい。流氷の世界は、私たちが失った何かを思い起こさせてくれます。
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