流氷遅報:
1月17日レーダー流氷初日と速報したっきりで冬眠、お許しください。
3月1日まで稚内から知床半島に至る沿岸全域を覆っていた流氷、春の気配を感じ取ったのか早くも宗谷の方から緩み始めました。
3月5日には、北から沿岸中央部の紋別沖まで楔形の開水面出現、ついに今年も海明けかと思いきや、本日3月10日、名残を惜しむかの如く再び接近中です。
暖かささえ感じさせる明るい海明けの風景が楽しめるかも知れません。とはいえ、気まぐれな流氷の動き、お急ぎオホーツクの海辺にご参集ください。
流氷と酒
発行遅れに対する攻撃、激励のメイル到来。氷昌物語未だ成功せず、幕間に流氷とお酒の関係について!
流氷のオンザロック
オホーツク海は最も赤道に近い凍る海、すなわち、海氷南限の海です。極北の氷野とは違って、風まかせ潮まかせで流れ漂うオホーツク海の流氷。青海原が一夜にして白い大陸になることも、見渡す限りの氷原が一日で消え去ることもあります。この変転極まりなさこそ流氷の魅力といえるでしょう。
多くの人々が流氷に魅せられてこの海辺の街を訪れます。流氷に巡り会えて歓声をあげた人も、見損なってほぞを噛んだ人も、夕暮れの浜辺でふと流氷のオンザロックのことに思い至るのが自然というものでしょう。
海水がマイナス1.8度まで冷えると、雪の結晶のような氷の赤ん坊ー氷晶ーが生まれます。無数の氷晶は浮き上がり、絡み合って柔らかい板状の氷になります。寒気が続くと、氷の底面から薄いガラス板のような結晶が何枚も並んで、下向へ伸びていきます。
この結晶一枚一枚は純粋な氷です。塩分はまったく含まれていません。海氷は海水中の塩分を吐き出しながら成長するのです。ところが塩分の一部は逃げ損なって、氷の板と板の間に閉じ込められてしまいます。流氷の内部には、もとの海水の3分の1から5分の1の塩分が含まれているのです。
日はとっぷりと暮れました。オホーツクの海辺の宴、琥珀色のウイスキーに純白の流氷、みなさまのよい思い出になれば幸いです。とはいいながら、ちょっと塩気の効いた流氷、お酒よりもトマト・ジュースむきではというのが私の意見です。
私の「流氷ートマト・ジュース」説に対して、保健所に勤務する友より教育的指導あり。沿岸近くの氷野は北キツネの生活圏内、エキノコックスに要注意と。(初出、北海道新聞オーロラに一部加筆)
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