2001.7.16号 07:00配信
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大草原からのぷちメッセージ

逃げる牛・逃げない牛

(by いくちん)


放牧地に放された牛。どうして遠くまで逃げて行かないんだろう?各々の牧場で、放牧してるのに決して混ざる事がないんです。当初は不思議でならなかった・・・。牛飼いになって2ヶ月が過ぎた頃、やっとその訳が分かりました。(それまで分からなかったという事)放牧1時間後、飼槽に餌を置き、牛床に敷きワラを入れた頃、牛舎内がバタバタと騒がしい。「戻って来たよー牛が!」私が飼い主になってから、一度も逃げて来た事がなかったのに、初脱走。どうして?どうして?どうしてぇ〜?牛舎の中に入って来ただけなら良いがー。外を見ると、車が走るべき所を牛ちゃん達が、のっそのっそと歩いてるよ〜〜〜。どうしてぇぇぇ〜。

北海道に住んでいたら、放牧された牛を見た事がない方は居ないと思います。放牧地には、牧柵というものが打ちこまれていますよね。牧柵を伝う針金。以前は、『ばら線』を張り廻らしていたようですが、現在は、普通の針金を張っています。なんと、その針金には、強い電流が流れているのです。

当時の私には、そんな事知る由もなく、放牧地から車道へ、車道から放牧地へ。逃げた牛を追うために行ったり来たり。作物を植えた畑に入られては困るし、父ちゃんは怒やすし、とにかく夢中。そんな時、無造作に触れた私の手に、飛び跳ねるような激痛が走った。牛飼いになって2ヶ月、疑問に思っていた事の答えを、自らの体を使って明らかにしたのです。これぞ、真の『体験』!!

牛の学習能力はとても優れていて、一度電牧に触れ『痛い』と感じると、二度を同じ失敗は繰り返さない。しかし、習性というものもあり、脱走するとまた、全く同じ行動をする。牛の”学習”と”習性”は、うまく利用すると飼い易いが、間違って利用すると飼い難い。ややこしいもんです。人間は、同じ事を何度学習しても、なかなか身に付かないものでー。実は私、いまだに、スイッチONの電僕に無造作に触ってしまう。ただ単に、私の学習能力が乏しいのかー?みなさんも、放牧中の電僕にはご注意!




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