2001.11.26号 07:00配信


大草原からのぷちメッセージ

白くて冷たいもの〜その2

(by いくちん)


雪国に生まれ育ち、子どもの頃の雪との楽しい思い出が沢山あります。放課後の雪合戦や、スキー大会のみかん拾い。雪の重さでつぶれそうになった木造二階建ての校舎。今では鉄筋コンクリートに新築されたものの、当時は廊下に吹き溜まりが出来るほどのオンボロ校舎でした。それでも、雪と親しむ生活は子ども達にとっては毎日ワクワクドキドキでした。

年頃になるにつれて、やっかいな存在になってきた雪。セーラー服に長靴姿、ストッキングの二枚重ね。電車の遅れで遅刻したり、つるつる路面でスッテンなんて事も度々。こんな所はもううんざり、雪の降らない南国にでも引越した〜い。そんな願いを持っていた高校3年の秋、進路決定の候でした。高校3年間を演劇部で完全燃焼した私は、「北の国から」・「富良野塾」への憧れと、心の師としていた「宮沢賢治」が感嘆したオホーツクの地を一目見たいという想いで、北海道に渡る事を決意していました。

汗と涙(?)の甲斐あって、無事に十勝の短大に進学。学校と住宅の下見のために初めての一人旅で訪れた3月の帯広は、まだまだ冬から目覚めていませんでした。「あ、北海道って雪降るんだったー」っと気づいてみても後の祭り。単純な憧れと想いが、私をまた雪国の生活に導いてくれていました。十勝という所は、雪はそれほど深くはないものの、ご承知の通りの厳寒の地です。当時流行りの朝シャンは、通学途中に髪の毛がガチガチに凍り、暖かい部屋に入った途端に頭がガンガン痛むため数日でやめました。「二回もドアを開けるのは面倒くさいなぁ〜」っと思っていた玄関の二枚戸も今では納得です。(一枚では寒さをしのげない)各学校にスケートリンクがあるのも驚きでした。深い雪をこぎ、凍りついた路面にしっかりと力をこめて歩くため足腰はずいぶんたくましくなりました。冬とは閉ざされるだけの季節ではない事も知りました。

雪国の生活は、この上なく厳しい。しかし極限の北海道に春が来た時の喜びは、それ以上に感動するものです。寒さに震え、雪の重さに耐えたからこそ味わえる喜び、その感動を得るために私は今後も北海道の雪に親しむ事でしょう。ここ北海道で発見する沢山の出来事。“動”である人の心、“静”ともいえる自然。これからの発見を楽しみにまた冬を迎えます。




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