2001.12.3号 07:00配信


大草原からのぷちメッセージ

時は金なり

(by いくちん)


47頭の母牛と、15頭の育成牛。そして10頭の仔牛。もちろん搾乳牛ばかりですので、全て女性です。家族の事を申しますと、娘が3人と私、おまけの父ちゃん。(いえいえ、おまけではなく主です)またまた、おまけにクーラー室に住み着いている母・娘2匹の野良猫ちゃん。つまり、ほぼ女で生計を立てております。なんとも愉快な限りです。

娘達が小さい頃は、毎日のように牛舎に顔を出して、お友達のようにメス牛達と女同士でほのぼのと戯れていました。今では、それ以外に楽しい事が見つかったようで、ほとんど足が遠のきましたが・・。それはそれで本人にとって意義のある時間であろうと思っています。また娘達の意思とは別に、私が牛舎に近づけないようにした事も一つの要因だろうと思います。っと言うのは、この3姉妹、共に小児喘息・アトピー性皮膚炎を患っております。長女は、咳喘息と乾燥肌で症状的にさほど辛くなさそうでしたが、次女は、生後1歳から3女は生後3ヶ月から、ひどい発作で幾度となく入退院を繰り返しているのです。

酪農業というのは、まさに“3K”と言われて相応しい職業です。牛舎の中は、ゴミゴミした埃でいっぱい。病気を引き起こす菌も沢山あるのです。一歩足を踏み入れると鼻がむずむず、目がしょぼしょぼ。大人でさえ、アレルギーを持っている者には辛い空間です。その中に喘息の我が娘を放り込むなど、どうして出きる事でしょうか。年齢が増すにつれ、症状は軽くなっているものの、牛舎に行った日の夜は、床に就くとひどく咳込み苦しそうです。この事態は、酪農業を営んでいる限り決着は付きません。

さて、この娘達の辛さを軽減させてあげるために親として何をすべきか。幾日も幾晩も考えてみても、一つの解決策も思いつきません。ただただ、牛舎には来ないようにと言い聞かせる事しか出来ません。生き物と接する事を通して、命の尊さを教えるという私の策略は空回り。親の働く姿を見せる事で、信頼関係を得ようという考えも適わないのです。三者的には対した問題ではなくても、私の心に中に様々な矛盾が生じ、我が家にとっては最大の難題です。今こうして思い悩む間にも、娘達の貴重な時間は過ぎていきます。後一年、もう一年と過ぎる時間をなんとなく過ごしていて良いものかと感じて止みません。



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