2002.1.21号 07:00配信


大草原からのぷちメッセージ

巨大な氷の板

(by いくちん)


この時期になると、雪で覆われているはずの学校の校庭に、子ども達の賑やかな笑い声が響きます。先生や父母達が夜遅くまで作業し、作成されたスケートリンクを目当てに集まるのです。これもまた、北海道でしか見る事の出来ない冬の光景です。

北海道に来た当初帯広にいた頃は、校庭の人だかりをそれほど気には止めていませんでした。「あれは何か?」と思う程度で、まさかそこに“巨大な氷の板”が存在するとは思ってもいませんでした。というか、あまりの寒さゆえ、雪をこいで足を運ぶ気力がなかったのですがー。それが“スケートリンク”である事を知ったのは、登別で教員をしていた頃の事です。“スケートリンク作成予定”というものが、職員会議の議題にあがったのです。「何?何?スケートリンクって私達が作るの?」っと驚きと興味津々で聞き入りました。なんと、雪の校庭に水を撒いて、平らに均すのだそうです。そうする事によって、冬は役に立たない雪野原が、子ども達の活動の場に生まれ変わるのですから素晴らしい取り組みだと思いました。

ふむふむ、私もひとつ力になろう!っと意気込んでみたものの、夜になると冷え込みは一層増し(そうしないと作業出来ないのですが)どんなに着込んでも、寒いものは寒い。しかも水を撒いて、それを凍らそうというのですから、身震いが止まない作業でした。手順も分からぬ私は、ただただ人のしている事を眺めては、温かいお茶を配るのが毎晩の仕事になりました。完成間近にして、予期しなかった地震が。氷の板はあちこちに亀裂が入り、修繕作業に更なる日々を費やしました。(ちなみに私の住んでいたボロい教員住宅は、ドアが閉まらなくなるという一難も)

こうした取り組みが毎年繰り返され、幼い子ども達でさえ、一本の刃で氷の上をスイスイと滑る事が出来るのですから、北海道のスケート界が活気あるのは理解できます。内地では、車で一時間かけて隣町の屋内スケート場まで行かなければならなかった私が、今では当然のように、校庭の“巨大な氷の板”に足を運んでいるのです。しかし未だ、厚さ1センチに満たない一本の刃で、氷の上を滑る技は身につけておりませんが・・・


インデックスにもどる

※ご意見・ご感想は「編集長の掲示板」へお寄せください。



Home
(C) 2002webnews
ご意見・ご感想・お問い合わせはwebmaster@webnews.gr.jpまで