2001.1.6号 10:00配信


南極のドーム基地住人だった西村淳の
アドベンチャークッキング2
【気ままに語る食と人の話】

忘れていたエピローグ1


キアヌリーブスから缶コーラを貰い、秋のシドニーの景色を楽しみつつ常夏のゴールドコーストで越冬の疲れを家族と共にいやすはずであったが、大変なことを一つ忘れていた。

それは川村隊員の結婚式・・・・・。
ドームである日の夕食時、コンクウイスキーでハイになった(いつも飲むと気持ちは天国まで行っていたが)私は、川村兄ちゃんが南極に来る前に新妻の「ふみこちゃん」とまだ結婚式をあげていない事を耳にし、「結婚式やろ!! 南国のリゾート地、ゴールドコーストで、頭にハイビスカスでもブーゲンビリアでもラフレシアでも何でもいいから、とにかく頭にでっかい花をつけたふみこちゃん・・・・可愛いでー!!!

教会から披露宴会場までこっちで心当たりあるからさー」・・・・なかった・・・確かにサーフアーズパラダイスなる地で、36次隊の後輩「高坂氏」のお出迎えに飛行機はとても駄目と断言していた、新妻「しげちゃん」をなだめすかし「一緒に行くって言ったヤロー」と少々脅して、我が家族と仲良しの栗山御夫妻、それと忙しすぎて参加不可となった、TAX上ヶ島自動社の重鎮「平井氏」の奥様「由美子ちゃん」と女の子二人。女房の友達と母親のメンバーで、南極に来る前に遊びに行った事はあった。そこでは別に結婚式を挙げることもなく、コンドミニアムを2棟借り、レンタカーで毎日きままに遊びほうけていただけだった。

南極の自然と、コンクウイスキーの酒精は脳細胞をとろけさせるらしく、現地に行った→同行は新婚カップル2組→湖の横に立つ白いコンドミニアム→湖に突き出た瀟洒なたレストラン→格安で毎日通ったBARの経営者と客がみんな外人?→こんな所で結婚式をあげたらいいだろうなあ→あげられるんじゃないの?→やろう!!と変異していったのだろう。日本の居酒屋で同じ様な事を言ったら「あほ!!」の一言で終わってしまったのだろうが、喋った場所がドーム基地。ソフトであまりにもロマンチックな話題にみんなは酔いしれてしまったらしく、「それいい!! やろう!!」と一気にムードは最高潮に盛り上がってしまった。

当の本人はと見てみると、いつもはちっちゃな金坪眼をパッチリと見開き、両眼はc印に変形し、少女漫画のように周りには★☆★☆★☆が飛び回っていた。頭の中ではハワイで白いウエディングドレスとタキシードに身を包み、ワイドショーのリポーターに取材責めにあう芸能人のように我が身をオーバーラップさせていたのであろうが、言い出しっぺの酔っぱらった私は、いつもの方言癖・大言壮語・酔った上での軽口くらいにしか考えていなかった。


南極観測隊経路図


コンドミニアムのプール


注意:写真はすべて国立極地研究所に属します。
個人で楽しむ以外(メディア等への掲載)は禁止します。

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