2000.3.20号 08:00配信


Home


第38次南極地域観測隊 ドームふじ観測拠点越冬隊

「食と生活の記録」より/by 西村淳



「ジンギスカンだー」

2月の声を聞いた途端、外気温はぐっと下がりー50℃を下回る日が続いた。2月8日 朝外に出てみるとなんとなくほんわかと温かい。温度計を見てみると、ー36℃であった。この時期ドームでは珍しく温暖な日である。

昼食時 ドライカレーをかき込んでいるみんなに「今日の夕食は外でジンギスカンやりまーす。当直は準備のヘルプよろしくー」と声をかけて午後一で作業開始。食用油の一斗缶を半分に切って、七輪のかわりに。台がちょっと低いので小さめの木枠梱包されている芸術品の様にがっちりと組み立てられている木枠を「日通のおっちゃんごめんなさーい。」と心で謝りながら台にすることにして、たきつけはまたまた謝りながら、木枠を防火用のまさかりでがんがんとぶっこわし炭をスタンバイしてまずはコーヒータイム。日本だと鼻歌まじりで数分で終わってしまう作業であるが、こんな作業でもここでは軽い酸欠状態になってしまう。30分体を動かすと、同じ時間休まないととてももたない。たまたま当直でヘルプの生け贄になってしまったドクターは「こんな寒いと炭火じゃうまく調理出来ないんじゃないかしら。」とー36℃で温かいと主張する私にびびったのか若干消極的な御様子。

30次隊の時、「みずほ基地」でー40℃ 10m/s のすさまじい天候の中でバーベキューをやった経験を頼りに「みずほでもっとやばいときにやって何でもなかったんだから、ここでも大丈夫。それに外でジンギスカンやって死んだ人ってまだいないんだからさ」と例によって訳の分からない理由をこじつけてともかく強引に作業を押し進めた。炭火の準備も完了し、小樽港町ジンギスカンロース肉も大量に用意し(5kg!)、冷凍ニンニクの芽・冷凍タマネギ・冷凍いんげん等の野菜も準備OKで、いよいよ人類史上初、ドーム富士観測拠点大ジンギスカンパーテイーの始まりである。


ジンギスカン用意。おにぎり作り

注意:写真はすべて国立極地研究所に属します。
個人で楽しむ以外(メディア等への掲載)は禁止します。



あなたのご意見やご感想を掲示板に書き込んでください。

indexbacknext掲示板


Home
(C) 1999 Webnews
ご意見・ご感想・お問い合わせは webmaster@webnews.gr.jp まで。