2000.3.27号 07:00配信


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第38次南極地域観測隊 ドームふじ観測拠点越冬隊

「食と生活の記録」より/by 西村淳



「金ちゃんの誕生会」

宴会ばかりしている越冬隊とお思いでしょうが実はその通りで、地獄のソフトボールが終わった2日後、まだ1月生まれの金戸基地長こと「きんちゃん」の誕生会をやっていないことを思い出した。朝食の時「またまた今日の夜宴会しまーす。」と宣言し、返事を待たずに準備開始。ヘルプしてくれる当直はと見ると「うっやばい!」佐藤隊員ではないですか・・・。男が料理して当たり前の現代で、生きた化石というか結婚したら絶対料理は奥さん任せ確実!。独身であるが将来嫁さんをもらったとしてあまりの手のかかりかたに熟年離婚率78%は確実な超料理&家事おんちの御仁。

それでもやる気だけは十分と踏んで、会場の設営と料理準備の間「うまい物を作るぞー」と士気が高揚してくるようなBGMの手配をお願いした。「まかし説いて下さい」と見栄をきって、私物の中から彼が選んでかけ始めたのはなんと尾崎 豊・・・・・。 ファンの方々には申し訳ないが、合いませんこれは料理を作っている時の音楽には、南極とハワイ、水星と冥王星程にその相性は遙か彼方に離れていた。「アイ・ラブ・ユー」まではなんとか我慢していたが、「卒業」が始まるともういけません。 「校舎の窓ガラスを壊したりバイクをかっぱらってなんちゃらかんちゃら束縛からの卒業」のあたりにさしかかると、思わずカットしている10数kgの骨付きハムを振り回しそうになった。

「この曲合わない。 NEXT!」のわがまま要請に、おやじからのリクエストとあなどったか(本人も35歳なのに・・ふん)次に引っぱり出してきたCDは 吉 幾三。 流れてきた「酔歌 スペシャルバージョン」は思わずホロリとなるいい曲で・・・・・でもやっぱり合いませんこれも・・・。BGMというよりも一升瓶を立てて、目刺しかするめでもあぶり、どんと腰を落ち着けたくなってきたので、これも中止。結局落ち着いたのは「モーツァルト」であった。日本では モーツァルトやバッハ、ヘンデル等のやや軽めのクラッシックと言えども音楽の授業かホテルのロビー等でしか、あまり聞くことはなかったが、ここでは不思議とサラサラと耳に入ってきた。男ばかりの生活環境がなせる技かどうかよくわからないが、帰国して休日の朝にショパンと気取ってみても、最初の一曲で挫折して、「ワイドショー」にチャンネルを合わせるところをみると根っから好きだったわけでもないようである。 南極の大自然にはクラシックが似合う。ということにしておいて、金ちゃんの誕生会のメニューは

「前菜」

鴨スモーク・カマンベールチーズ・からすみ・ハムの和風マリネード

「小鉢」

花いかのネギ和え 

「酢物」

赤貝・冷凍キュウリ・わかめ

「造り」

まぐろ・牡丹海老・しめ鯖・おご・とさか

「焼き物」

小鯛  はじかみ生姜

「揚げ物」

天ぷら(海老・きす・あなご・ゴボウ)

「椀物」

鴨南蛮蕎麦


 

赤飯 香の物

と金ちゃんのリクエストで純和風・正調・典型的おじさん好み・¥5、000コース宴会メニューが出され、「紙パック月桂冠」の酔いとともに喋りまくる、私と川村隊員以外はあくまで静かに・上品に最初の誕生会は幕を閉じた。


南極おでん


手伝いにいそしむ?佐藤隊員
注意:写真はすべて国立極地研究所に属します。
個人で楽しむ以外(メディア等への掲載)は禁止します。



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