変化は当直日誌の書き方にも微妙に現れてきた。当直日誌の内容は結構そっけないもので、その日のメニュー・作業等が簡単に書かれていたが、この頃になるとじっとしている時間が出来てきたせいかはたまた日本を出発して以来やっとと言うかとにかく冬眠に向かう両生類の様に屋内で閉じこもる時間が増えてきたのか自分の意見・諸表等を書き連ねる隊員が出てきた。一つの例を紹介しよう。
「佐藤隊員」の日誌から・・・。
この人は寒さに弱く、「どうしてこんな寒がりなのにドームに来たんだろう?」と疑問符がつく程異常な寒がりだった。当直の時は食堂に座ること1時間。煙草に火をつけて瞑想すること1時間。業務日誌をしばしば自分のエッセイ集を執筆してるのじゃ・・と思われるほど毎回力作を当直日誌上に展開していた人だったが、この頃になるとその内容も若干支離滅裂になってきた。
原文のままで
「今朝は風強く(8m)気温−66℃、一歩外に出た人は寒い寒いと数分もたたぬうちに(注 これは自分の事です)建物の中に逃げ帰ってきた。無理に外作業等はしないほうが無難であって、外出禁止令が出ないかと期待したが、車両をたちあげろと口の悪い人間もいて、ほとんどの人は定常作業であった。 一人パソコンで分けの分からぬ事をやっていて、ほとんど一日中部屋の中に閉じこもった太った人もいたが。実は昨日の晩は51℃であったので、明日は温かくなるとたかをくくっていた。車両立ち上げなどでBUSYになると思って早起きして(実は当直であった。)様子をうかがったらこのザマだ。etc 」
と文面を借りての個人批判とも受け取れる形態がしばしば出てくるようになった。これじゃ・・・やばい!!と言うことで、こういう時に私の出来る事。と考えてまたまた宴会をやることにした。表題は・・・・そうだ誕生会が遅れている・・・誕生会をやろう・・・。
「−60℃で・・・・・・・」
注意:写真はすべて国立極地研究所に属します。
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