2000.9.12号 06:00配信


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第38次南極地域観測隊 ドームふじ観測拠点越冬隊
「食と生活の記録」より/by 西村淳


「平沢隊員誕生会」

1997年9月29日、「平沢隊員」37歳の誕生会が開かれた。毎回の恒例で、誕生日の隊員からは好きな物のリクエストを取り、なるべく希望に添った物に仕上げようとしているのだが、過去には蟹・蟹・蟹・蟹とか北海道の魚の高い奴とか日本での経済状態が忍ばれるようなリクエストもあった。当の「平沢隊員」のリクエストはと言えば、「いつもの様に大皿にどか盛りはしないで人に盗られる心配のないように、一人ずつ皿に盛り、どの皿も高い物を必ず入れることそれとないとは思うけど、栗御飯が食べたいけど・・・ないでしようねえ」とふってきた。

当直の皿洗いが大変なので、小盛りはしないで大皿ドカンはそのままにして、その他のリクエストは採用した。絶対ないと思われていた「栗」だが・・・・業者さんにマニアックと嫌がられた今回の調達である。 もとより忘れるわけがない。実はこの栗・・・極地研の近くの何とか公園から出港前に密かに竹竿を盛って「がめた」と言うか、「断らないで頂戴した」と言うか、とにかく小学生の頃に西瓜を畑からかっぱらって以来のスリルを味わいながら、調達してきた苦労の一品を隠匿してあった。

西瓜泥棒の時は、農家のおじさんに見つかって追いかけられ、肥溜めに足を突っ込んで、川でよく足を洗ったにもかかわらず、あまりの臭さに、ばれてしまったのだが今の東京都板橋区に「肥溜め」があるわけもなく、悲惨な経験をせずにすんだが、それでも私は真面目な公務員。見つかったときの言い訳の2〜3種類は用意していたくらいのドキドキ感はあった。とにかく苦労?して調達した、「冷凍ゆで栗」の出番がついにやってきた。誕生日当日、「昭和基地」から祝電が届き、我が家族からもなぜか祝電が届いたが、「平沢隊員」の奥様を始め、家族からの祝電が届くことはなかった。「心で通じ合っていますから、いいんです。」と顔で笑っていたが、きっと心の中では大雨が降っていたのだろう・・・・。

そしてMENUは

・平目のパイ皮包み焼き
     ソース・ド・タルタル

・鯛の薩摩揚げとすっぽんの唐揚げ

・舌平目のガランティーヌ
     クリームソース

・ハムとスモークサーモンの盛り合わせ

・栗御飯

・伊勢エビのリヨネーズ

・肉まん・桃まん

といつものように食べきれないくらいの量を並べた。


平目パイ皮包み


誕生会料理


この頃になるとケーキも綺麗な仕上がりになってくる


注意:写真はすべて国立極地研究所に属します。
個人で楽しむ以外(メディア等への掲載)は禁止します。



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