2000.10.4号 11:00配信
兵庫にある夫の実家から、小包が届いた。中には七五三用の着物が入っているはず。娘と二人、ワクワクしながら開けてみた。「わあ、かわいいねえ!」 赤い地に花の模様が何とも愛らしい。早速試着だ。着物と被布を着せ、草履に髪飾り…着替えたとたん、娘は鏡を見に行くと言い出した。まだ長い裾をずるずる引きずりながら移動し、鏡に映し出された自分の姿をさも満足そうに眺めている。横で見守る私も嬉しくてたまらない。そうか、もうすぐ三歳…こんな着物も着られるようになったんだ。大きくなったね。元気に育ったね。 三歳、五歳、そして七歳。子供がその年令まで無事成長したことを祝う行事が、七五三だという。一人の赤ん坊が、何の心配もなくすくすく育っていく。それは当たり前のようで、実はとても大変なことだ。医学の進歩した現代でさえそう思うのだから、先人たちの苦労はいかばかりだったか。この行事にこめられた親たちの思いが伝わってくる。 小さい頃からアトピーに悩まされてきた娘。一時は本当にひどくて、母である私も精神的にだいぶ追いつめられた。苦しかった。けれどそんな中でも娘は立ち上がり、歩き始め、おしゃべりをし、歌を歌えるようになり…気がつけばもう立派な一つの「人格」となって、私の傍にいる。「子供が一歳なら、親も一歳」と聞いたことがある。初めての育児に振り回され、あっという間だったこの年月…娘が無事三歳になった日、私も親として三歳成長したことになるのだろうか。 10月15日。その日に合わせて遊びに来てくれる義母を交えて、家族で神社に参拝に行く。すっかり商業化され、「お祭り」と化したと言われる昨今の七五三。我が家もその例外ではないと思う。それでもいいのだ。きれいな着物を着せて、家族揃って記念写真を撮ろう。娘の成長を素直に喜んで、これまで支えてくださった多くの人たちに心から感謝しよう。きっと、幸せな一日になるはずだ。 |