2001.3.27号 07:00配信


トレッキング?

(紋別市社会福祉協議会:篠原辰二)


ネパールに入国する外国人の内、おそらくその8割はトレッキングのためだろう。トレッキングとは、簡単に言うならば山登りのこと。荷物のほとんどをポーターと呼ばれる担ぎ手に持たせ、料理を担当するコックや山岳ガイドなども同行する登山だ。山登りをしたことのない人でも、1泊2日程度の簡単なトレッキングコースもあり、自然好きの人々が多く集まる。本格的なトレッキングを楽しむ人は、1月も2月もかけて6000m級の山まで登ることもある。山が好きな僕にも羨ましい限りだ。ネパールはその国土、どこの地域の地図を見ても等高線がひしめき合っている。直線距離で1km程度の所でも、その標高差は急なところでは1000mを軽く超える。山岳丘陵地とは、まさにこの国のためにある言葉なのか、平坦なところはほとんど無いのだ。

僕等が訪れているベトラワティ村の標高は640m。しかし、村の四方は山がそびえ立ち(地元の人は丘程度の感覚)その頂は高いところで2000mに近い。山しかないのだ。ランタン基金の会の支援地域は、ベトラワティ村を中心として半径約25km。学校支援現場や学資支援をしている所まで行くには、そうした山を登らなければいけない。僕はこれまでにも、支援地域の現場を見るために、このあたりの山をよく登った。これが僕のトレッキングだ。

2年前、一緒に渡航した渡部氏と、支援地の中でも一番高低差のあるサラムターレ地区へ行った。高低差800m、およそ6kmの山道を登った。当時45歳の渡部氏は昔、山登りの経験も持つ、しかし23歳の僕とは体力では差がある。目的の場所まに到着する頃の渡部氏は既にバテバテ。この時ほど、自分の若さを嬉しく思ったことはない。今回のトレッキング(状況視察)は、サラムターレがある山のちょうど反対。ゲルク地区を目指す。マーブーガルのすぐそばから山道を登り始め、標高約1000mのその地区まで1時間半の道のり。本間くんも張り切って登り出すが、すぐに膝が笑ってしまう。山登りに焦りや無理は禁物。「ビスタレ、ビスタレ(ゆっくり、ゆっくり)」と口ずさみながら、一歩一歩を踏みしめる。

ゲルクでは、学校支援の要請があり、その地域の状況や子ども達の人数、そして、今ある学校を確認しに行く。ゲルクではその地区の子ども達が手に花やきれいな葉を持ち寄り僕等を歓迎してくれる。休みたいのもつかの間、すぐに状況を調査始め、すぐにまた来た道を戻る。下り道は、登ったときよりも危険だ。道幅が肩幅くらいしかないところもあり、ちょっと足を滑らせただけで、谷へ転落してしまうことも考えられる。小石や岩、草や土、その場所によって変わる路面状況に気を使いながら降りる。僕等に同伴してくれた現地スタッフでさえ、足を取られる。しかし、この地域に住む子ども達や大人は、毎日のように学校へ行くため、買い物に出るため、水をくみに行くため、生活のためにこの道を何度も利用している。結局、ゲルク村の学校支援は、資金があれば対応することとなったようだ。

観光だけではない、そこに暮らす人との距離が近いこの旅。僕等の小トレッキングは、ネパールの自然や過酷な状況の中、生活を送っている人々に出会い、改めてこの国を知ることができる時間である。



もどるボランティアの掲示板





Home
(C) 2001 webnews
お問い合わせはwebmaster@webnews.gr.jpまで