2000.7.5号 08:00配信





『日本東洋医学について』その1

★漢方とは:この言葉の本当の意味と誤解について

現在の東洋医学の治療法は、源を中国伝統医学と一緒にしていますが、鎖国等で、中国との交流が途絶えるなどして、日本独特の発達をとげ現代に至っており、冠に日本をつけて、日本東洋医学、日本漢方医学と称して他の国、特に中国伝統医学と区別しております。

 通常我々が漢方・漢方医学・東洋医学と言う言葉を、同義的に用いていますし、皆様方も同様だと思いますが、この使い分けにより、一部に錯覚させるような使い方もされています。漢方と言う言葉は、日本古来よりあったわけでなく、江戸時代後期のオランダ学問(医学も含めて)即ち蘭学・蘭方学に対してのそれまでの日本伝統医学を称して漢方・漢学の言葉を用いて以来のことで、3〜400年の歴史しかなく、残念ながら漢方と言う言葉の乱用により、いろいろな誤解を受けています。

 漢方と言う言葉には、医学的雰囲気を漂わせておりますが、すべてが漢方医学とは言えません。一般に漢方=漢方医学と、思われておりますが、よく店頭で見かける漢方コーナー・漢方健康コーナー等に、いろんな商品があり、すべてがあたかも漢方薬と思われがちですが、漢方薬は薬で、医者から処方してもらうほかは、薬局・薬店でしか販売できません。これらの多くはいわゆる「健康食品」であることが多く、たとえ生薬を含んでおりましても薬(厚生省が効果を認めて、薬として認可したもの)ではありません。(決してインチキと言っているのではなく、食品成分として安全な食品であることには変わりありません)

このことは逆に漢方薬をきちんとした「薬」と認識してくださらない人々を生む原因となっており、種々の誤解を生ずることとなっております。また、もともとが薬(薬として言い伝えられていたものを含みます)だったことを、感じさせないものに、洋の東西を問わず薬草を用いられたお茶があり、鉄冠音のはじめとする中国茶・緑茶や柿の葉茶・枇杷茶を含む日本のお茶に、ヨーロッパではミント・ローズをはじめ、単独またはブレンドされたハーブティがあります。

これらも昔は薬として扱われましたが、現在では薬効の有無は別にして、わが国では薬としては扱われておりませんが、これらも健康漢方コーナー等でよく見かけます。

尚、中国では第二次大戦後それまでの中国伝統医学を統合し「中医学」と称して、西洋医学を「西医学」とはっきり区別しており、日中国交正常後の1970年代より、中医学に対して日本漢方と呼ぶようになり、この言葉はここ30年の歴史しかありません。(中国漢方という表現は、ほとんど用いられていません。)中医学には日本漢方と同様の漢方薬を、中心とした治療法の他に按摩・鍼・灸さらには気功術をも含んでおり、それぞれが独立しております。日本では漢方薬療法・按摩・鍼・灸を含んで日本東洋医学会を構成し、最近では日本東洋医学の表現が普及してきております。
(気功術は日本では学会に含まれていません。)

その2に続きます。


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