2000.12.11号 07:00配信





温泉に関しての3回目

今回は治療の歴史について

・温泉の歴史

それではここで少し温泉医学の歴史についてのお話です。

 日本の温泉療法の開祖は神代にさかのぼり、大穴むじの命・少名昆古那の命となっており、神功皇后が兵士を嬉野温泉で療養させた記録?記載がある。その後天智天皇時代の有馬温泉への湯治などの記録があり、時代はずっと下って信玄の隠し湯などの言い伝えがあったりしており、徳川時代に後藤良山とその弟子が、温泉研究し人工温泉をつくり治療した記録がある。

但し貝原益軒は飲泉を禁じており、ほとんどか入浴療法が主体である。

化学的分析は宇田川榕庵に始まるも、近代的医学的研究はB・lzによって始まったのがわが国の温泉医学研究の始まりとされています。

 西欧ではギリシャ神話(ここでも神代の時代から)に霊泉の治癒能力が言われており、泉の守り神はHeracules である。

BC5世紀頃にはAesclapylae を祭る神社は温泉や海・川のほとりに200を超え、信者が浴をとり、眠りの中で神に出会うと神Aesclapylae は薬・浴・食事などの処方を授けたと言われている。

かの地に温泉場が発展し、信者(患者)が多く訪れたCos 島などに医学校が芽生えた。ローマ時代になるとローマ人は浴を好み、遠征先で温泉場を開発したことが多くの遺跡に残っている、現存している温泉場も多い。

 飲泉としてもSt.Moritz は3000年の歴史を持つし、16〜7世紀より盛んになった。入浴も19世紀には炭酸泉浴が循環器病に用いられた。

現在ではドイツでは科学的に認められ、かつ実地の臨床で認められた効果の有る治療手段を有することが療養温泉の条件として認められ、適応・禁忌も明確になっており、そして、療養に必要な温泉館(入浴・飲泉・吸入等の設備がある)・リハビリテ ーション施設(プールを含む)・治療泥施設・療養公園・娯楽施設(遊興施設ではなく、テニスコートやプールなど)・宿泊施設・適応症の専門的診療施設・温泉専門医・気候条件測定施設を備えている『クアハウス』が有ることが療養温泉地の条件とされ、さらに娯楽施設として乗馬等ができる牧場を有していたり、トレッキング・ハイキングが出来る山や丘陵があることが多く、他の西欧諸国も同様であり、治療・療養地としての温泉が主体となっております。

今となっては歴史的に同じ神代の時代から治療・療養として温泉が用いられていたわが国の現状とはかなり違ってきています。

残念ながら、温泉に対する一般市民の認識もかなり違いがあります。即ち目的が治療・療養VS遊興・歓楽、長期休暇が当たり前の風土VS数日の休みしかない風土。

さらにほとんどが自然環境が豊かな所に湧出している温泉を利用しているのに対して(古代からの目的のままの開発)、その大部分が観光的に良い場所で地底(海底)深く迄採掘し、(狭い国土、交通の便利さ等限られた時間を優先しての開発、最近は都市部での開発)温泉を汲み出している差なのかもしれません。わが国の現状ではやむを得ないのかもしれません。

遊興・娯楽目的にはさほど問題がないと思います。しかし、温泉療法の目でみれば非常に残念なことと思いますが、開発側に問題があるのか、利用する側に問題があるのか非常に難しい問題だと思います。

次回は、温泉の効能と治療への応用のポイント適応症と禁忌について予定してます。

皆様の、ご意見をお待ちしています。
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