1999.10.26号 08:30配信


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オッサン・オバハンの修学旅行 その二



今回私達が参加したツアーは「韓国フリープラン Cグレードホテル」というものだった。オフピーク時なら千歳発着39800円という驚くべき低価格なのだが、秋の行楽期かつ連休ということで59800円、これでも十分安いツアーである。三泊四日だと帰りの便が満席ということだったので四泊五日にしてもらったがそれでも64800円。千歳・羽田往復の足代に比べてもかなり格安である。その上ホテル四泊分、金浦空港への送迎も付いているので国内旅行よりはかなりお得な感がある。ホテルはCグレードということで期待できないがいろいろなことを見て、それについての仲間達との語らいが目的であるのでそのことは初めから問題にしなかった。ソウル市内ではまったくガイド無しのフリープランだが、行きたくもない免税店やお土産屋などに煩わされることがないので返って気持ち良いことだろう。

今回の旅に先立ち、言い出しっぺの私として次のことを仲間たちに提案した。


修学旅行なんだから地下鉄などの公共交通機関をできるだけ利用してタクシーにはなるべく乗らないようにしよう、。(^^)/

韓国の人と話す機会を見つけ、トライしよう。

上の提案を実現すべくオッサン五人とオバハン一人入り交じっての韓国バトルが始まった。我等目指「我的韓之国紀行」。あっっっこれは中国語か〜。

金浦空港到着後、入国審査を済ませ、アライバル・ゲートを出ると現地係員の朴明子さんが出迎えてくれた。彼女は我々より二つ上、少し太めの面倒見の良さそうな人だった。小学校時代クラスに一人はいる世話焼きタイプだ。独学で日本語を学び、ガイド試験にも合格した頑張り屋さんである。助詞の使い方にまだ少し問題があるものの日本語教師経験のある私から見ても合格点は十分与えられる。彼女の日本語に比べたら私の英語なんて落第間違いない。彼女に連れられ、駐車場のマイクロバスへと向かった。金浦空港は軍事上の理由からか高い壁で囲まれていて、異様な感じがする空港だった。

短い秋の日差しも落ちかかっていて、バスで移動するとすぐに周りは暗くなってきた。大きな川に沿って車は進む。これが漢江(ハンガン)だと教えてくれた。地図で見ても十分大きな川であったが、これほどまで大きな川は見たことがなかった。対岸が霞んで見える。普段なら都心まで四十分くらいで着くのだが、夕方の渋滞で一時間以上かかりそうだと朴さんが説明してくれた。なるほど片側四車線くらいの広い道路が車で埋め尽くされている。しかも周りを走っているドライバー達が平気で幅寄せ、割り込みをしてくるものだから我々はたびたび「あ〜、危ない、ぶつかる」と冷や冷やしつつ車内で騒いでいた。都心に近づいてからはさらにドキドキものだった。下手なジェットコースターより恐怖感が味わえるかもしれない。前後の車間距離もメチャクチャスゴイが、左右などバックミラーがぶつかるんじゃないかと思うくらい近づいてくる。ソウルだけはレンタカーで回っちゃいけないと仲間内で話し合った。きっと韓国の田舎町ではこんな運転はしないことだろう。冬には路面が凍結することもあるというソウルだが冬にはどんな運転をするのだろうか。

大韓航空機内ではハヤシライス(ハッシュドビーフ)のようなものが出たのだが、ちょうどその時私は気分が悪く食べられなかった。昨夜は一睡もできず旅立ったので、そのせいかもしれない。夜八時になろうとしていた。私も仲間達も思いっきり空腹だった。ようやくマイクロバスが一軒のプルコギ屋(焼き肉屋)さんの前で止まった。このツアーで唯一含まれている食事がこの焼き肉食べ放題というものだった。

ソウルの街は車のライト、お店のウインドウから漏れる明かりだけで街灯はあまりなく薄暗い感じだったのだがこのプルコギ屋さんのライティングはとても明るい。何はなくともまずビールということで安着祝いの乾杯をした。紋別を朝六時に車で出発して十四時間あまり、ようやく我々はソウルでの食事にありついた。我々のような日本からの観光客ばかりではなく、韓国の若者達のコンパ会場にもなっているようだった。

ここのお店ではどんな肉でも食べ放題、ビール・焼酎も飲み放題だった。当然キムチもサラダも食べ放題。我々は空きっ腹に冷たいビールで刺激を受けたからか猛烈に食べた。ここのビールはホップが効いていてとても美味いと皆口々に誉めていた。禁酒を続けていた私だが、みんながあまりに美味そうにビールを呑むのでついビールに手を伸ばした。まずは生ビール一杯を呑み、様子を見ていたがなんともないようなので杯を重ねた。韓国滞在中ずっと飲み続けた眞露という焼酎にもこの店で出会った。呑み心地がよくサラリとしている焼酎だ。

韓国式正しい焼き肉の食べ方というものがあるとしたら肉が焼けてきたら、すぐに肉を焼くプレートを取り替えることかもしれない。初めは落ち着かなかったがこうすることにより煙もあまり出ず、臭いもつかないのだろう。その後もいろんなお店で焼き肉を食べ続けた私達だが、このプレート取り替え作戦はどこのお店でもやってくれたので、これが正しい焼き肉の食べ方なのだろう。あと灰皿に濡れた紙を敷いてくるのも驚いたが・・・・。

我々が満腹になるまで辛抱強く待ってくれていた朴さんだが、十時近くに我々を慶南観光ホテル(キョンナムホテル)に連れていってくれた。チェックイン後、部屋に一旦は落ち着いた我々だが、旅でハイになっているからか疲れているのにホテル近辺に繰り出した。このホテルは都心から八キロほど離れているのだがホテルの周りには屋台なども出ていて、この時間だと云うのに街全体が活気に溢れていた。ホテルのすぐ近くに二十四時間営業のコンビニも見つけたのでいつでも酒や食べ物を買いに行ける。池袋の裏街のような感じで楽しそうな予感がした。

ホテルで取りあえず日本円一万円を両替したのだが、十万五千ウォンになって戻ってきた。急に金持ちになった気がした。

サザエや牡蠣、ヒラメを焼いて出す食べ物屋さんの他に帽子を売っている屋台、CDを売っている屋台など様々あった。宇多田ひかるやGlayのCDの海賊版も8000Wonで売っていた。日本円で800円ほどだから買ってもいいかな〜と冷やかしながらホテル近くをうろついた。食べ物屋台ではいろいろなフライを売っていたりもした。いろいろ食べたが私は海苔巻きを揚げたものが美味しいと思った。味はまったく違和感がなかった。ホテルに戻る前、コンビニにも入ってみたのだがビール大瓶二百円、先ほどプルコギ屋さんで呑んだ眞露という焼酎(二合瓶)など八十円で売っている。ホテルでの飲み会に備え、多少の酒とおつまみを買い、ホテルに戻った。深夜十二時を過ぎていた。ホテルで明日の打ち合わせなどしつつ、またまた宴会をして、ようやく就寝。

明日から歩き回らなくてはいけないのに寝不足必至の我々である。まあいつものことではあるが・・・。


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