2000.1.5号 07:30配信


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地学

課題 地球内部の推定の仕方



 地球は表層部の流体地球と固体地球から構成されている。そして個体地球が全体のほとんどを占めているのだが、その組成や構成物質が何であるかに関しては、流体地球よりも明らかではない。深部物質を直接的に分析することが困難だからである。
 それ故いくつかの方法で推定するのである。その推定法について以下に述べる。

  直接的方法

 ボーリングによる掘削、火山岩中に含まれるゼノリス(捕獲岩)研究、及び地表の地質調査があげられる。
 ところがボーリングはせいぜい15キロくらいの深さまでしかおこなわれていない。今後資源調査をかねた深層ボーリングがあるので、その情報を期待するといった、現段階では不十分なものである。
 ゼノリスはマグマが上昇する際、周りの岩石を取り込み地表近くまで運んできたものである。これの成分調査によりマントルの構成物質を知ることができる。

 地表の岩石を採集し、分析することによっても地球内部の構成物質がどのようなものであるかの情報を得ることができる。ただしこれは過去の地球内部の情報なので現在を知ることはできないのである。
 つまり直接的な方法には、それぞれ限界がある。ゼノリスは分布は非常に限られており、これを用いてマントル全体を知ることはできないし、マントル深部やコアからくることもないので地球深部について知ることはできない。
 これに反して、間接的方法では地球深部、及び地球内部の広い範囲にわたって知ることができる。以下にそのいくつかをとりあげて説明をする。

  間接的方法

 重力測定、高温高圧実験、地震波、地磁気の観測による電気伝導度の推定という方法などである。これらは地震波測定法を中心にそれぞれ補い合って地殻理論を構成するものである。

重力測定は重力の大きい場所では振り子が早く揺れるという原理を用いたもので、重力の異常測定から地震波の研究に先立って、地殻の存在を推定した。この方法の中で重要な「地殻均衡論」がうちたてられた。この考えを元にハスケルは地球の粘性係数を計算した。

 次に地震波測定だが、これには火薬を用いて起こされた人工地震波を調べるということも含まれている。
 地震波は表面波と実体波にわけられる。実体波は縦波と横波があり、地球の内部を屈折したり反射したりする事により伝わる短周期の波である。縦波は地球の裏がまで届くので地震波を調べることは最も有効な地球内部探査の方法である。
 ある地点で地震が発生したとき様々な観測点で地震が到達する時間を測り、時間(走時)と距離(震央距離)との関係を示すことができ、これを走時曲線という。これを用いて地球内部の地震波速度の分布をもとめる。その分布は不連続である。これを元にして地球内部を地殻、マントル、外殻、内核に分けることができ、さらにこれらの構成物質とその状態を推定することができる。

この地震波測定によって推定された地球の深部構造に関する理論を裏ずけるものとして高温高圧実験という方法が使われる。その実験のデーターと照合すればマントルや核の構成物質の組成が解析されるのである。

 ま1936年、ブレンは地球内部における各層の縦波と横波の速度から、その深さにおける体積弾性率を見積もることに成功し、これを発表した。弾性体とは力を加えれば変形するが、その力を取り去れば変形も元に戻るような物体のことである。その弾性体は圧縮すれば体積が小さくなり密度が大きくなる。この際の圧縮されにくさを示す定数が体積弾性率である。つまり体積弾性率が大きいほど圧縮されにくい。この考えをベースに地球深部の巨大な圧力を考慮に入れて、各深さにおける密度を計算した。するとおよそ400キロメートルの深さに不連続面があり、地震波速度の不連続面と一致した。これは20度不連続面と呼ばれているが、電気伝導の不連続面であり、さらに地球を構成している岩石の低圧型から高圧型への変位が起こる深さでもあることがわかった。つまり地球内部がどのような物質から作られているかが明らかになったのである。後になって、高温高圧実験により裏ずけられたのだが、地球内部の密度分布がわかるとそれと同時に他の物理量の分布もわかってくる。ここにブレンの研究の重要さがある。 

 他に隕石を研究する事によっても地球の組成を推定することが可能である。
 なぜなら地球は隕石やこれと似た成分が集まった微惑星が集積してできたと考えられているからである。

 このような様々な方法で個体地球には地殻、マントル、核からなる層状構造があり、各部分の化学組成や鉱物組成などの性質が明らかにされてきたのである。              了




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