2000.2.8号 21:00配信


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流氷の世界(6)

流氷−海からの素晴らしい贈りもの




たった一つの片仮名の海 オホーツク海語源考

まえがき

どうしてオホーツク海というのだろう? 今回は、オホーツク海の名称についての素人話です。北海道にはアイヌ語起源の地名が多いけど、オホーツク海だけは違うようです。詳しいことをご存じのお方がいらしたらお教え願いたい。

オホーツク海語源考

日本の周りの海で、片仮名の名前をもつのはオホーツク海だけである。はたして、いつごろからオホーツク海と呼ばれるようになったのだろう。

平安、鎌倉時代、この沿岸には、海獣狩猟や漁労で暮らす人びとが住んでいた。オホーツク海文化と呼ばれている。この先住民、その後のアイヌやウィルタの人びとは、この海をなんと呼んだのだろうか。残念ながら、和名はないようだ。

サハリン北方・シベリア大陸沿岸のオホタ川河口に、オホーツクという小さな村がある。昔、ここの原住民エベンは、この川をオカタと呼んでいた。オカタとは、エベン語で「川」の意味である。17世紀中頃から、ロシア人が進出して、ここに砦を築き集落ができた。オカタ川はロシア風になまってオホタ( Okhota ) 川と呼ばれるようになった。

探検家ハバロフに因んで ハバロフスクという都市名がつくられるように、ロシア語では、名詞にスク(-ck )を付けて地名をつくる。この地はオホタ川の村オホーツク( Okhot(a)+ck ) と呼ばれるようになった。はじめは河口付近の海がオホーツク海と呼ばれていたが、やがて、この海全域を示すようになった。たまたま、ロシア語にはオホタと発音される単語(0xota )がある。「狩猟」という意味である。ロシア人は、テンやラッコなどの毛皮を求めてシベリアを越えてこの海に達したのだ。彼らにとって、この海はまさしく「狩猟の海」であった。このロシア語とオホーツク海の名前が語源的関わりをもつか、否か、残念ながら、私は知らない。

名前は舶来とはいえ、オホーツク海は、政治的には日本とロシアに属する海であり、地球環境の面からは全人類の海である。いつまでも、オホーツク海が豊かな「狩猟の海」であることを祈っている。


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