2000.2.22号 08:00配信


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流氷の世界(2)

流氷ー海からの素晴らしい贈りもの(2)



オホーツク海の謎

まえがき

 流氷のこと、流氷への想い、独断と偏見に満ちたオホーツク海からの発想をお送りします。オホーツク海は流氷南限の海です。  今回はちょっと面倒な話になります。オホーツク海はなぜ凍るのか・・・、オホーツク海のなぞについて・・・中学時代の理科の勉強を思いだしてご辛抱のほどを。

なぜオホーツク海だけが凍る?

 流氷接近。ぎりぎりまでニシンやスケソウを追った底引き船団は2月8日、操業続行を断念して、日本海や太平洋への回航を決めた。寒空の下、父や夫を見送る家族の姿、ちょっと寂しいオホーツク海の風物詩である。同じ北海道の周囲の海でありながら、日本海側や太平洋側には流氷ができない。寒さもほぼ同じなのに、なぜオホーツク海側だけが凍るのか。

 真水は摂氏4度以下では冷たいほど軽い。だから、池は対流を起こすとなく、冷えていき、表面が零度になると凍り始める。一方、海水は、冷たいほど、塩分が濃いほど重い。だから海は、対流を起こしながら冷えていき、零下1.8度になって始めて凍る。  海を凍らすには、池よりも大量の熱を奪わなければならないのだ。また、海は深いほど凍るのに時間がかかることになる。では、オホーツク海と日本海、太平洋の間に何か特別な違いがあるのだろうか。海洋観測が続けられた。その結果、オホーツク海は、表層のほぼ60メートルが塩分の薄い水で覆われた塩分の二重構造の海であることがわかった。

 冬、オホーツク海は対流を繰り返しながら次第に深くまで冷えていくが、対流は表層に限られる。その下には塩分の濃い重い海水があるからだ。凍る点からいうと、オホーツク海は60メートルの浅い海といえる。これに対して日本海や太平洋では、対流が深くまでおよび、凍る前に春になってしまう。  ところでオホーツク海を二重構造の海にしている原因は? 流路4500キロメートルの大河アムール川は、シベリア大陸の大量の雪解け水をオホーツク海に流し込む。この水はオホーツク海の表面に広がり、二重構造の海を作り出す。  オホーツク海は世界の海のなかで最も赤道に近い凍る海、つまり、流氷南限の海である。

 この海を流氷南限の海にしている犯人はアムール川だ。アムール川の水の流入を止めるか、オホーツク海を底からかき混ぜて二重構造を壊してしまえば凍らぬ海に変わるだろう。しかし、このときオホーツク海はわれらの豊かなオホーツク海ではない。アムール川は流氷の産みの親である。


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