2001.9.17号 07:00配信


大草原からのぷちメッセージ

悲しい事件

(by いくちん)


先日、酪農業の私達にとって、ひどいダメージにつながる報道がされました。数年前にイギリスで初めて発生し、足がもつれ巧く歩けない牛の衝撃的な映像が放映されましたよね。この事で、イギリスでは、『牛肉禁止令』なるものが施行されています。それほど恐ろしい病気という意識を私達に植え付けたのです。その牛海綿状脳症=狂牛病とは、どのようなものなのか。ヒトへの感染・影響はあるのか。マスメディアの様々な情報が飛び交う中、私達は何を信用したら良いのでしょうか?

牛海綿状脳症(BSE)とは、1986年にイギリスで初めて報告された牛の病気で、行動異常、運動失調などの神経症状を示し、発病後2週間から6ヶ月の経過で死に至ります。BSEの原因は、ウイルスより小さな異常プリオンで、BSEに感染した牛の脳、脊髄、リンパ組織等を含む肉骨粉などの飼料摂取により感染すると言われています。病原体の経口摂取によって牛以外の家畜がBSEに感染したという報告はありません。また牛から牛や他の家畜へも感染しません。なお、食肉や牛乳・乳製品を食べても安全です。

この事件については、いまだ調査の段階で、対象牛についても検査のやり直しが必要とされています。マスコミとは何故、真実が明らかになる前に先走りの報道をするのでしょうか。消費者の不安を仰ぐ何物でもありません。私は、この報道をうけてから、ネット上に設けられた色々な掲示板をリサーチしてみました。消費者の見聞を知りたかったからです。一連の報道で、以前イギリスで発病した時の『足がもつれた牛』の映像が放映されました。あれを見た視聴者から、「あんな無惨な狂った牛の肉を食べてるかと思うと・・」などという書き込みもありました。その書き込みには、あの映像は今回の日本の対象牛ではなく、イギリスのものです。と返信されていましたがー。

酪農業は近年、ヒトの手に寄って進歩し続けています。搾乳技術はもちろん、種牛の研究・飼料の改良・乳牛に対する知識の向上など。それに伴い、今回のような病気の早期発見や解決につながるのです。しかしそれが、スムーズな市場の流れや生産者と消費者双方の信頼関係に困惑を来たす事になりかねません。私達は、飼料や酪農機器など、業者を信頼して生産事業を行っています。消費者も生産者を信頼しているものだと思っています。今回の事件によって、この関係が壊れてしまうのではと不安を抱かずにはいられません。酪農業という職業においては、常にプロ意識と責任を持って携わっているつもりです。一日も早い真実の解明を望んでやみません。


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