2002.2.18号 07:00配信


大草原からのぷちメッセージ

少女の願い

(by いくちん)


以前に“学校給食”の事で、私の思いを書きました。“学校給食”を切に願う気持ちは今も変わっていません。そして今回は、私よりも切実にこの事を願う、ある子ども達のお話をしたいと思います。

一男3女の兄弟にはお母さんがおりません。一昨年の夏、お父さんに連れられて引っ越してきた彼らは、我が娘達の通う小学校と保育所に転入しました。最初の内は、興味本位からなのか近所の方々が子ども達のお世話をしていましたが、子ども心に「申し訳ない」と思ったのか、お父さんがそう指導したのかどうか、末の3歳の女の子までが、“自分の事は自分で”やるようになりました。3歳の子にとって、それがどんなに大変な事か、自分の3歳の末娘を見ていてよく分かります。

お父さんは、家族を支えるために朝早くから夜遅くまで、身を粉にして働いております。小学4年生のお姉ちゃんは、下の3人の兄弟の着替えや食事の世話をして、保育所に送り届けてから学校に向かいます。もちろん、始業ぎりぎりです。放課後も友達と遊ぶのを断って、保育所に迎えに行き、夕食を食べさせて寝かしつけるのです。彼女にとって、学校で過ごす数時間だけが唯一の自分の時間なのです。

ここに来て一年半経った今、真中の双子の男女が小学校入学を迎えます。お父さんは子ども達に相談を持ちかけました。「食べる事で子ども達に苦労はさせられない、“学校給食”のある隣町の小学校に転校しよう」というのです。そうする事によって、職場への通勤時間が増えるのを承知の上で、「日に一食は栄養の整った食事をさせてあげれる」と思ったらしいのです。しかし、悲しかったのはお姉ちゃんです。この一年半で学校にも慣れ、仲良しの友達も出来ました。ここを離れたくない一心で言いました。「私、もっともっと頑張るから、ここに居よう」お父さんは、彼女の意思に負けたと言います。

ちょうど、町政が、給食実施に向けての方針を打ち出した時期でした。計画では、後一年半ガマンすれば給食が実施されます。女の私が3人の子どもを育てるのにも苛立ちと試行錯誤と連続なのに、男手一つで4人の子どもを育てる事がどれほど大変か。また、わずか10歳の少女が食事の支度や兄弟の世話をするために、どれほど自分を犠牲にするか。それでも明るく、屈託なく過ごしている様子を見ると思わず脱帽してしまいます。同級生の娘を持つ親としてだけではなく、一人の大人として、彼女に協力してあげたい、出せる限りの力をー。彼女の元気な姿を見るために、そう思うのです。そして、この子達のためにも、一日も早い給食の実施を願わずにはいられません。

これは、偶然関わりを持った子ども達のお話です。我が家の就学児は、この双子の男女と一緒に学校に行ける事になり大喜びです。子ども達にはとって友達の存在がどれほど大きく作用するのか。友達と一緒にいたい、ただそれでけなのです。


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