2000.8.20号 06:00配信
◆アトピーとお菓子 |
「自分の子供のころ・・・」 自分の子供のころは、とにかく虫歯だらけでした(^^;) お菓子屋の息子だからと言うわけではありませんがとにかく歯医者さんには、よく通ってましたねー。自分の息子に、そういう思いをさせたくはないと思い作ったお菓子があります。 もう4〜5年くらい前だったかなあ・・・紋別に「移動地域食品加工技術センター」というものが某市内のホテルで開かれたのです。そこに出席してたのですが、「キシリトール」を始めいろいろな糖類の話を聞いたのです。そこでふと思ったのですが・・・「大手の菓子メーカーでは、キシリトールのお菓子が作れるのに、どうして自分のような小さいお菓子屋が作らないのだろう?」と疑問におもったのです。まあ、小さいお菓子屋が作らないわけを、いろいろ調べていくと「なるほどねー」とわかりました。 まず価格が高いこと。納入するルートが限られてること等でした。価格は、普通の砂糖の約10倍。これには、びっくりしました。さらに「キシリトール」には、「最大無作用量」なるものがあることもありました。「最大無作用量」とは、キシリトールを摂取して身体に影響のない最大量のことです。キシリトールは、消化されない成分がある為に一度に多量に摂取するとお腹が緩くなるということがあるのです。(最大無作用量は、体重1kg当たり約0.3g。体重が50kgの人なら約15gただし、個人差があります) よく、シュガーレスのアイスクリームやチョコレートの裏面に書かれてあると思いますが「この製品を一度に多量に食べると、一時的にお腹が緩くなることがあります」とか書かれてあるのを見たことありません?それは、先ほども書きました「キシリトール」やその類の糖類(糖アルコール類といいます)の特性なのです。 自分が、店頭ではなくいろんな会合とか人のいるところでお菓子屋さんだと分かると若いお母さんとかが「うちの子虫歯が多くて・・・だから甘いもの控えているの」とか「添加物が怖くてね・・・」とか言われる事があります。自分でも、思うのですが子供に食べさせたくないために親が隠れてお菓子を食べたりとか、お菓子を食べるのを我慢したりというのはちょっとなあ、と思うのです。かといって、シュガーレスのチョコレートやガムばかりでは・・・と。そういう場合でも、お菓子屋さんが作ったお菓子を食べさせられたらと思い、シュガーレスのシュークリームを作りました。シュガーレスということは、砂糖(いわゆるショ糖と分類されるもの)は一切使えません。したがって牛乳も使えないのです。卵も同じです。卵は輸入品の卵の代用(国産では、製造されてない)になるものを使い、牛乳は水・バター・脱脂粉乳(四つ葉)・ミルクカゼインを使います。糖類は、キシリトールと還元麦芽液糖を使います。これで、シュガーレスのカスタードクリームが出来ます。これをシューの皮に充填をして、シュークリームを作ります。(シューの皮も、卵は使いません) ここで、なぜ「キシリトール」なのか?ということを書いておきたいと思います。他にもキシリトールのように、虫歯菌を成長させない糖アルコール類はありますがまず、大半が砂糖の半分しか甘味度がないということがネックになってしまうのです。唯一、砂糖と同じ甘味度なのがキシリトールなのです。砂糖の半分の甘味度しかないなら、倍入れればよさそうなものですがそれだとカロリーが高くなってしまうし、配合バランスが崩れてしまいます。 で、このシュークリームが出来上がったときにある幼稚園にモニターをしてもらったことがあります。そこで、あるお母さんに「普段、お菓子は自分の作ったお菓子しか食べさせていないのだけれど、今回はキシリトールということで食べさせてみました」と言われました。お子さんが、アトピーとのことでいろいろ苦労なさってるのだな・・・と思いました。 自分のところも、そういうお子さんがいるお客様からご注文を頂いたことがあります。その子は、卵アレルギーとのことで卵を使わないケーキを作ってほしいとの注文でした。まったく卵を使わないケーキ・・・さて、どうしたらいいものか・・・?と悩んでいたのですが親父に「饅頭の生地使ってみたら?」と言われました。和菓子の饅頭生地の種類には、卵を一切使わない生地もあります。おお、それだ!と思い早速作って納品したところ大変よろこんでくださいました。お菓子屋さんにも全部のアレルギーに対応できるとはいいませんがある程度、アレルギーに対応できるお店もあります。最近は、無添加の原料や有機栽培の食材を使っているお菓子屋さんもありますので問い合わせてみると良いと思います。(自分も何件かなら紹介できますし、自分でも多少の対応はできます) やはり、親と同じものを食べなくても家族みんなでお菓子を食べたいですよね。夕食のあとの団欒のときとか・・・お菓子を食べてるときって、みんな顔が緩んでいたり笑顔がそこにあると思うのです。とういう場所を提供できたり、提供するのが自分の仕事と思っています。 |