前回の原稿では中頓別町(なかとんべつちょう)の砂金掘りの歴史を簡単に振り返ってみたが、今回は、今も砂金粒が採れる「ペーチャン川砂金掘り体験場」を紹介しよう。
現在の「ペーチャン川砂金掘り体験場」は中頓別町民有志で結成された「砂金の会」と「中頓別町観光協会」が昭和63年(1988年)に「砂金で栄えた中頓別町らしく、砂金で町おこしを!」と砂金採掘ができる場所を選定していったのが始まりで、現在の地点が将来的にも有望との調査結果から同年オープンした。
周りは河川そのままで護岸工事すらされてなく、人工的なものは管理棟とトイレだけ。水も電気も通ってないから電信柱もない。まさに自然そのままという環境の中にある。
管理と維持作業は「中頓別町観光協会」が主管し、管理人(インストラクター)を1名開設期間中常駐させている。当初は宣伝費用・手段等もなく、ただひたすらお客さんが次々と口コミで砂金掘り体験の面白さ・楽しさを回りに広めてくれ、徐々に来客数が増えていき、今では家族連れ・若者のグループ・カップル等で開設期間中賑わう中頓別町を代表する観光地の一つとなった。
私個人、今年(1999年)も数回来客等の指導にあたり、砂金掘りを一緒に楽しんだが、砂金粒が採れた時のお客さんの満足そうな笑顔は何度見ても嬉しいものだ。残念ながら時間の関係で採れずにあきらめて帰ろうとするお客さんもいたが、一粒でも持って帰ってもらいたいと自分が採った砂金粒をプレゼントしたりもした。
そのお客さんが今度来た時には自分が採って帰ろうと心に誓ってくれれば一粒や二粒の砂金は惜しくない。
普段、管理人として指導してくれる人も、やはりせっかく来てくれたお客さんには一粒でも持って帰ってもらいたいと、その日その日によく採れそうな場所を確認してお客さんに教えたり、たまには率先して砂金採掘に関わっている。ここの管理人さんは何人か交代しているが、皆なかなかの好人物で、全国各地から毎年のように来てくれるお客さんと顔なじみになっている。『お客さんが「ペーチャン川砂金掘り体験場」を覚えていて、また来年も来てくれるとやっぱり嬉しいものだよね。』と管理人さんは笑顔で私に語ってくれた。
現在、観光は「体験型観光」の時代を迎えていると言われている。例えば、手作り乳製品づくり体験・そばづくり体験・気球試乗体験等々。しかし、大自然の中、子供のように川に入って、水の中に手を入れてキラリと光る砂金粒を自分の手で探し出すという砂金掘り体験。
これはそこらへんでやろうと思ってもなかなかできない体験だと私は思っている。体験型観光の中でも時間を忘れ、童心に帰れるこの砂金掘り体験は貴重な時間を費やす価値のある体験だとお勧めしたい。
さて、今年もいよいよ押し迫ってきた。来年は「ミレニアム・イヤー」ということで世間は盛り上がっているようだが、「ペーチャン川砂金掘り体験場」もミレニアムな1年でありますように。
では、また次回の原稿で。
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