2000.3.6号 12:00配信


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ネパールびっくり体験記

モーレツ水祭り



3月のうららかな日。それは、突然やってきた。ヒュ〜〜ン!バシャ〜ン!「きゃ!」私は声をあげて仰け反った。何だい?今のは?と、またもう1つ。ヒュ〜ン!バシャ〜ン!「きゃ!」何かが空から落ちてきて、私の足元で弾け、水が辺り一面に飛び散った。上を見上げると、小さな水風船を持った子供がアパートの窓から見えた。あれか!と思っていると子供達はこっちを見て笑い、また風船を投げた。「ひゃっ!」と避けると風船はバシャン!と音を立て割れ、水は私の足を濡らした。きっ!と睨むと、彼等は笑いながら窓際から消えた。私の足は濡れたまま。

何てことするんだと思ったが、気分を取り直してチルドレンズワールド(児童福祉施設)へ行った。ナマステ〜といつもの様に入っていくと嫌な物を見つけた。子供達が何人か集まって、せっせと水風船を作っているではないか。「あ!それは!」と指差すと、みんなはにっこり笑って風船を見せ、「ホーリー」と言った。聞けば、3月初旬には水遊びのホーリー祭りがあるそうだ。男の子が女の子を追いかけるのが基本だが、女の子だってやられっぱなしじゃないので、結局水のかけ合いになってしまうらしい。祭日を待ちきれずに水合戦が始まる所もあり、私はその犠牲になったという訳。

「祭りは明後日だけど、明日もきっと危ないね。外に出ない方がいい。」と言われた。え、そーなの?早く言ってよ。明日は、イミグレーションへ行く日なのに、どーしよう。まあ、テンプー(相乗りタクシー)を使えば大丈夫さ、と思った私は甘かった。テンプーの通り道からイミグレまで、少し離れている。その間約10分。さっと走りぬけるつもりが、たった10分の間にひどい目にあった。みんな私を見つけるや否や、風船を投げる投げる、投げまくり。小学生にまで追い回され、叫びながら逃げまくった。攻撃が治まり一息付いてると、小さな風船を持った子が近づいて来た。「これならいい?」と聞いてくる。小さくても水が入ってるでしょと嫌な顔をすると、突然!後ろからいきなり攻撃された。ひゃあ!と飛び上がり振りかえると、数人がバカデカ風船を持って狙っている。いや〜!と叫び、走り出したがもう遅い。後ろからガンガン当てられ、服はずぶ濡れに。

ヨタヨタしながら家へたどり着くと、ペンションさくらに宿泊中の看護婦さん達とロビーで会った。皆さん手に水鉄砲を持っている。目が合うとにやり。「明日が楽しみね。」だって。かなりやる気のご様子。私も何か用意しとくんだった。

そしてお祭り当日。朝少し遅く起きて、こわごわと外を覗いた。あらら、やってるやってる。さくらのスタッフも総出でバタバタと走りまわっている。昨日は水だけだったが、今日は色付き。武器も、水鉄砲、ホース、水風船、バケツ、素手(これが一番怖い)と色々。うぉーうぉーと叫び声が聞こえるが楽しそうだ。参加したくなり、汚れてもいい服を着て、外へ出た。「あのさ、私も武器が欲しいんだけど。」と、話し掛ける間もなくいきなり、べちゃ!うわっ!と顔を触ると手は真っ赤。あわてて逃げ出したが、遊びに来ていたシュレス君(さくらママの弟)とばったり。「おはようございます!」とまた顔に塗られた。丸腰の私はいいカモだ。子供達には風船を投げられるし、看護婦さん達には水鉄砲で攻撃されるしで、それはもうひどい姿に。このままではらちがあかないので、一先ずホテル内へ逃げ込んだ。

水鉄砲を調達し、気を取り直してもう一度。中庭へ出ると屋上から風船が降ってきた。負けないぞ〜と応戦したが、水はすぐ尽きてしまった。補給しなきゃと思っている所にシュレス君。今度は髪にもガ〜っと塗られた。更に塗り重ねようとする手を無理やり振り解き、走り出た表庭は壮絶な水合戦中。やっぱり丸腰の私は、またまたいいカモに。ホテル内へ逃げ込もうとしたが、前後左右から攻撃され、更にひどーい姿に。顔はぐちゃぐちゃ。髪はベトベト。首筋ねっとり。赤青黄色の衣装になって靴下までぐっしょり。やり返したいのはやまやまだったが、これ以上は戦闘不可能なので、あきらめて部屋へ戻った。体を洗うと、血のような赤い水が流れ出た。2、3回髪を洗ったがベタベタ感が落ちない。鏡を見ると首筋に赤い模様が残っている。まるでお化けだ。あな恐ろしや。

昼近くになりお腹が空いたので、汚れついでに買い物へ。通りでも、壮絶な水合戦が繰り広げられている。予想はしていたので力の限り走って逃げたが、それでも何発か当たった。当たり慣れたとは言え、顔面にぶつけられた時は、さすがにちょっと涙目になったよ。帰ると水合戦は終わってて、みんなで、お化け記念写真をパチリ。一体どんな顔で写ってるだろ。今日は凄い半日だった。いや、さくらの中では半日だったが、外からは1日中わーきゃー聞こえてた。あな恐ろしや。日本じゃこんなの絶対無理ね。一部地域ならともかく、全国何処行っても大騒ぎなんだよ。大人も子供も我を忘れて楽しめる行事なんて、そうはないよね。後先考えずドンちゃん騒ぎするのもたまにはいいかも。こんなお祭りが出来るのはネパールの国民性かな。


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