2000.4.24号 09:00配信


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ネパールびっくり体験記

めざせ尼僧さん



4月の初めから2週間ほど、私はお寺で生活をしていた。え?とうとう悟りを開いたのかって?いやいや。じゃ、ネパールで嫌な目に会い、世の中に失望したのかって?違〜う!俗世間には、まだまだ未練がありますって。そうじゃなく、カトマンドゥ近郊にはゲストルームを持つ仏教寺が多いと聞き、ちょっと生活してみたくなっただけ。しかし、それを聞いた母は日本から慌てて電話をかけてきた。「あんた、頭丸める気!?」んな訳ないでしょ。

お寺と言っても、単なるお寺ではなく、仏教徒の寄宿学校だ。正式名称は、「Vishwa Shanti Vihara」総生徒数は、約35人。そのうち女の子は3人だった。指導に当たるお坊さんは3人。外部からの先生も3人。クラスは4つあったかな。普通学校と同じ勉強もするが、仏教学やお経も学ぶ。男の子はカーキー、女の子はピンクの袈裟を着て生活している。映画で見かけるクリスチャンスクールのネパールバージョンだと思えば、想像つくだろうか。

引越し当日、私はまず住職さんに挨拶に行った。水色の床でなかなかきれいな部屋だ。ふと横を見ると、お備え物だろうか、お菓子や果物が並んでいる。グルマ(尼僧さん)がいたので、私は、挨拶の仕方を教わった。単に「ははぁ」と拝めば良いのかと思っていたが、作法があるらしい。拝む時は手の平と肘を床に付ける。起き上がり、手を合わせ、また床に手を付ける。それをゆっくり3回繰り返す。慣れれば簡単じゃない。よしよし。優しいグルマさんとお話していると、ヘッドモンク(住職さん)がいらっしゃった。「ははぁ」と習いたての挨拶をすると、モンクは「ようこそ!」とニコニコ。厳格な方かと思いきや、とても明るい、ジョーク好きな方だった。ほっ。

私の部屋は3F。同じく水色の床で、お湯シャワーと水洗トイレがちゃんと付いている。2人用なので、ベッドは2つあるし、机もある。広々としていて明るい部屋だ。荷物を片付け、建物内を検索。1Fは教室、職員室、食堂。2Fは生徒とヘッドモンクのお部屋。3Fはゲストルームと図書室。屋上は瞑想ルーム。その辺の寄宿学校より、きれいで設備が整っている。お湯はやっぱり出にくいが、そんなのはとっくに慣れてるさ、意外に快適ねとほくそ笑みながら、2週間のビハラ生活が始まった。

ビハラの朝は早い。早いが、寝坊する者などいない。そして、起床から就寝まで、1日のスケジュールはきっちり分刻みで決まっていた。日曜から金曜までは、以下の通り。

 4:00       起床 がんがんがんと鐘が鳴る
 4:20〜4:50  施設内のお掃除
 5:00〜6:15  朝のお勤め
 6:30〜7:00  朝食 芋粥、煮物、フルーツ、ミルク等
 7:10       中庭に集まって校歌(?)斉唱
 7:15〜11:15 授業
11:15〜12:00 昼食 メインの食事
12:00〜13:00 昼休憩
13:00〜15:15 授業
15:15〜16:00 それぞれ自習
16:00〜16:45 本日2回目のお掃除
17:00〜18:00 夕方のお勤め
18:00〜20:00 それぞれ自習
20:00       スープタイム。その後は自由行動
22:00       就寝

う〜ん。なんて規則正しい生活でしょう。私は朝のお勤めには出ていたが、朝4時起床はちょっと無理だった。鐘が鳴るので嫌でも目は覚める。目は覚めるが、起きれず、暫くゴロゴロ。ゴロゴロうとうとしてる内に、はっと気づくとすでに5時!なんてのはよくあった。私がノソノソしてる間、皆はせっせとお掃除。なんて躾の行き届いた子供達かしらと思っていたが、お勤め中、居眠りする子がいた。ふふ、やっぱり子供ね。可愛い。

土曜は授業は休みだが、朝は変わらず4時起床。午前中は勉強したり、グループ活動したりと、気ままな時間。午後からは、信者を集めて催しが行われる。他のお寺からも助っ人が駆けつけて、盛大なお勤めが始まる。御前にお偉いさん達が並び、長い紐を持っている。その端を信者達が持ち、一緒に拝む。これは、お釈迦様と繋がっているという印らしい。お経を読み、瞑想が終わると、お供えタイム。信者達は、用意してきたお金を配って歩く。その後は楽しいお食事会。ご飯、野菜
カレー、豆スープ、サラダ、付け合せ、お菓子、果物、ミルク、紅茶・・と凄い量だ。そして、いつまでもお代わりを運んでくる。断れど断れど、次から次への「どうぞどうぞ」攻撃。そんなに食べられないってば。

昼は毎日豪勢な食事だが、夜は打って変わって質素な食事。残り野菜を使ったスープで、どろどろしている。一見不気味。飲むと豆+芋+何かの味がした。何の味だ??例えるなら、温かいカロリーメイト飲料かな。普段はコップに入れて飲むが、時々ご飯を混ぜて食べる。薄味で胃にやさしい。食べていると玉ねぎや豆やブロッコリーが出てくる。何でもありのスープだ。私はネパール料理に慣れていたから平気で飲めたけど、他の観光客はどうだろ。深緑色の生ぬるスープ。消化には良さそうだけどね。

食事の準備を手伝ったり、図書館で本を眺めたり、バンテ達とお話したり。ビハラ内の生活は、静かでのんびりしていた。帰国が近かったので外出が多かったが、出来れば、2ヶ月位ゆっくり過ごしたい所だ。せっかくだからと、お経も少し習った。

 Buddham Saranam Gacchami
 Dhammam Saranam Gacchami
 Sangham Saranam Gacchami
 Datiyampi Buddham Saranam Gacchami
 Datiyampi Dhammam Saranam Gacchami
 Datiyampi Sangham Saranam Gacchami

最初、「仏陀、皿ナンが、茶味」などど言い、笑われていたが、これぐらいはマスターした。瞑想タイムも、段々眠くなくなってきた。シーンと静まり返った中、目を閉じ、深呼吸する。無心になり、心を落ち着ける。外界を遮断し、自分の世界に篭る。穏やかな時が流れ、何もかもが遠のいていく。目を開けた時、少しだけ、新しい自分に生まれ変わった気がする。日本では、私は、何かしなければという思いに追われていた。何もせず、落ち着いて自分を振返る時間も必要だろう。興味本位で来たビハラだったが、短期滞在が残念に思えた。とはいえ、一生ここで暮らそうとは思わないのだから、いい加減な話かもしれないね。

<Vishwa Shanti Vihara>
住所    Meen Bhawan, New Baneshwar, Kathmandu
       GPOBox 8973 NPC 327
TEL&FAX 977-1-482984
代表者   Bhikshu Jnanapurnik Mahasthavira


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