今考えても、妊娠中というのはとても不思議な期間だった。自分の中に、もう一人誰かがいる。どこへ行くにも何をするにも一緒、文字通りの一心同体。なのにそのもう一人が一体どんなヤツなのか、生まれて来るまではさっぱりわからない。
ただ想像するしかない我が子に向かって、私はよく話しかけた。
「どのくらい大きくなったのかな。」
「もう耳は聞こえる?」
「今、起きているの?」
同時にこんなことを思っていた。
(私があなたぐらいの頃、一体何を考えていたんだろう。)
やがて無事この世に生まれ出た娘は、毎日休む間もなく色々なことを吸収し成長している。その姿に驚きながら、やっぱり私はこう思っている。
(私にもこんな頃があったんだ。)
(こんなにいい顔して笑っていたんだなあ。)
母親になったらきっと子供のことばかり考えて、自分のことは二の次になってしまうに違いない…そう思っていた。いや、とんでもない!確かに頭の中は子供でいっぱいだ。でもその子供を通して、私は幼い頃の自分を感じている。かつての自分に還っている。これは本当に貴重な体験だと思う。
子供の頃は楽しいことが山ほどあった。この世にあふれるいろんなことを、小さな体でいっぱい吸収した。私は今、娘の後を追うようにして、そんな素晴らしい子供時代を繰り返している。きっといろんな発見をするだろう。忘れていたものをたくさん思い出すだろう。
さあ、思い切り「子供」に還って、明日も娘といっぱい遊ばなきゃ!
|